この先も生きたいから全摘出 乳がんと闘いながらタレント活動、元SKEの矢方美紀さん

©株式会社熊本日日新聞社

「私の活動を通して若い世代も乳がんになる可能性があると知ってほしい」と話す矢方美紀さん=熊本市中央区

 「私はこの先も生きていきたい」。アイドルグループSKE48の元メンバーでタレントの矢方美紀さん(26)=名古屋市=は、乳がんと闘いながらタレント活動を続けている。3月下旬、熊日看護師就職支援ガイダンスのスペシャルトークのため来熊した矢方さんに、闘病生活の心境や今後の夢を聞いた。

 2009~17年までSKE48のメンバーだった矢方さんは、チームSのリーダーを務めるなど活躍。卒業後はラジオやテレビなどに出演している。

 健康診断は受けていなかったが、17年6月に小林麻央さんが乳がんで亡くなったことをきっかけに、セルフチェック。左胸にしこりがあるのを見つけ、昨年1月に乳がんと診断された。

 医師から診断結果を聞いた時、20代でもかかるのかと驚いたが、「こんなに元気なのに体の中では何かが起きているのかな」と冷静に受け止めた。しかし、病院を出た後、「どうしよう。あとどのくらい生きられるのかな」ということが頭を巡った。しばらく死という言葉がよぎり、泣いたり落ち込んだりしていたが、調べてみると、必ず死ぬわけではないと分かり、少しずつ受け入れようと思えた。

 同4月に手術。左乳房を全摘出し、転移していたリンパ節も切除した。当初、20代で胸を失うのは考えられなかったが、知人の女性が「全部取って、生きた方がいいわよ」と強く言ってくれたことが手術を決断する大きなきっかけだった。

 「(胸がなくなったことについて)『かわいそうね』と言われることもあるけど、私はこの先も生きたいから全摘出に踏み切った」と語る。

 手術後は抗がん剤や放射線の治療、ホルモン療法が始まった。「つらいと思えるのは生きているからだ。アイドル時代だって大変だったことも乗り越えたから大丈夫」と考えるようにした。手術後、闘病生活をブログで公表し、会員制交流サイト(SNS)などで発信。「同世代の乳がん患者とメッセージをやりとりして、元気をもらっている」と話す。

 髪が抜けるのはショックだったが、ウイッグ(かつら)を使い、日によってロングヘアやショートヘアを楽しんでいる。この日は地毛を明るく染めたベリーショートで登場し、「自分らしくおしゃれをしたい」と前向きに話す。

 現在も服薬を続けながら、テレビ出演や講演などを通して、乳がんの啓発活動をしている。「私の活動を通して若い世代も乳がんになる可能性があると知ってほしい」と語る。幼い頃からの声優の夢に向かって努力を続けるなど、充実の日々を送る。「自分のことを理解してくれる人に出会えれば結婚はしたい。子どもを産むことも諦めずに希望に変えていきたい」と明るい表情で話した。(豊田宏美)

(2019年4月8日付 熊本日日新聞朝刊掲載)