【高校野球】U18日本代表候補らが受けた刺激の数々 再会を誓い、夏に向け動き出す

花咲徳栄・韮沢雄也と桐蔭学園・森敬斗(左から)【写真:沢井史】

U18日本代表候補国際大会研修合宿に参加した全31選手

 7日に終了したU18日本代表候補国際大会研修合宿では参加選手の9人の内野手のうち6人が遊撃手だった。今春のセンバツに出場した森敬斗選手(桐蔭学園)もそのうちの1人だ。今回の合宿に参加するにあたり、まずはライバルである仲間たちとのコミュニケーションを大事にしながら、グラウンド内では四方八方を見ながら体を動かした。

「自分はバッティングが課題。周りはバッティングのいいショートの選手ばかりでレベルが高い。みんなよく打つなーと思いながら、自分はどうしていけばいいか見てきました」

 話しているちょうど隣には先週閉幕したセンバツで優勝した東邦の熊田任洋遊撃手がいた。熊田は東邦では4番を打ち、センバツ5試合で4割以上の打率を残している。「熊田は打率が高いですよね。武岡(龍世=八戸学院光星)は守備がうまい。バッティングにもパワーがある」。唯一甲子園出場のない紅林弘太郎選手(駿河総合)は、先日の実戦形式の練習で鋭い打球を連発しアピールしていた。

 森選手は守備力と足が持ち味。昨秋の関東大会では4本塁打を放ち打撃で強烈なインパクトを残したが、センバツでは打撃力の力不足を痛感した。「守備はある程度数をこなせばいいけれど、打つ方は(バットを振る)数をこなせばいい訳ではない。やり方を間違えたままやってしまっては意味がないので。木のバットは特になかなか飛ばないので、日頃から練習していかないと思いました」。

 センバツの広陵戦で内野安打1本のみだった武岡龍世は、6日の実戦形式の練習で河野佳投手(広陵)を相手に右方向に強い当たりを飛ばした。「センバツで打てなかったのでリベンジできたのかな」と苦笑い。

 同じ6日の実戦形式の練習で右足に死球を受けた韮沢雄也選手(花咲徳栄)は、7日の練習には「自分から自然とノックに加わっていた」(永田監督)という。動きを見ても大きな問題はなく、本人も「大丈夫です」と語り遊撃だけでなく他の内野のポジションの守備にもつき、感触を確かめた。

「みんなすごい技術を持っています。特にショートはたくさんいたけれど、自分も負けられない。まずは夏の甲子園に行って、活躍できたら」と、チームのためにも夏にしっかりアピールし、世界の舞台に立つことも見据えた。

有明・浅田将汰【写真:沢井史】

最終日となった7日のみ参加した有明の浅田投手

 有明の浅田将汰投手は5日に春季熊本大会の準決勝、6日に決勝を終えて、そのまま合宿入り。本来なら日程的に参加するのは厳しいが、7日の昼までの練習合宿だけでも参加したいという本人の強い希望で、最終日のみ参加となった。

 熱戦の疲れも見せずシート打撃に一番手で登板した。浅田投手は熊本大会の3回戦の熊本北戦で1安打19奪三振、完封の快投を見せるなど、県内屈指の本格派右腕として注目を集めてきた。全国クラスの投手陣を目の当たりにし「色々学ぶことが多かったです。夏の甲子園に行って、ここにいるメンバーと再会出来たらいいですね」と、確かな目標を掲げていた。

 佐々木朗希投手(大船渡)の163キロの剛速球が注目を集めたが、練習参加した31名の全選手が新たな野望を抱き帰郷した。ほとんどの地区はこれから春季大会が本格化。夏の甲子園に出るために鍛錬を重ね、その先で日の丸を背負うことを夢見る選手がほとんどだが、このメンバーに惜しくも入らなかった有望選手も多い。ここから4か月後、どんな表情で選手たちがどこで再会できるのか。センバツが終わり、いよいよ夏モード、そして侍モードの空気が漂ってきた。(沢井史 / Fumi Sawai)

© 株式会社Creative2