先祖への感謝の心、家族の絆 「お墓」のもつ意味を考える 静かなる霊峰 絆 つながる心

未来を担う子どもたちへ伝え継ぎたい
お墓は故人を自然に返し家族の絆をつなぐもの

編集室:古来からある日本のお墓の存在意義とは?

今出川:日本のお墓は、仏教が大陸から伝わり、日本独特の宗教観と交わることで「ご先祖さまの供養」の意味合いが込められた「家族の象徴」となりました。人が死を迎えると、体は滅びますが霊魂は永遠になくならないと考えられ、お墓は体を自然(土)へ返すところであるとされています。

春と秋の彼岸、お盆、お正月はお墓参りをします。例えばお盆は、ご先祖さまの魂が家に帰って来ます。地域ごとに習わしが異なりますが、8月13日に各家でご先祖さまを迎える迎え火を焚き、14、15日は家族が子どもや孫を連れて実家へ帰り、先祖も一緒になって集まる日となります。16日にはご先祖さまを再び送り出すための送り火を焚きます。京都の大文字は、この送り火に当たり、昔から大切な行事として受け継がれてきました。

我々は二十代程遡れば数百万人もの祖先の血統を受け継ぎ、命をいただいています。今の世を健康で幸せに生きていられるのは、ご先祖さまのお蔭です。普段は離れ離れになっている家族や親せきが、お墓に参り“感謝の念”を持って手を合わせることは、家族の絆を深めることにもつながります。

比叡山延暦寺大霊園 導師 今出川 行雲 大僧正 昭和12年 大津市生まれ。      大林院住職、比叡山延暦寺代表役員を経て、 平成15年 比叡山延暦寺の大僧正に昇補。 平成22年 比叡山延暦寺大霊園園長就任(現・導師)。 平成29年 秋の藍綬褒章叙勲。
守りたい日本の仏教文化

編集室:最近はお墓を受け継ぐ子どもが少なく、また親が子どもに負担をかけないようにとお墓を持たないなど「お墓離れ」という言葉も聞くようになりましたが。

今出川:私が法要を行う際、最もうれしい瞬間は、小さな子どもたちが来てくれることです。昔は家族皆が集まるのが当たり前でしたが、寂しいことに最近は子どもや孫を見ない法要もあります。仏さまやお墓に手を合わせる姿を子どもたちへ見せることは、親としての大切な役割ではないでしょうか。

しかしながら、子どもがいない、遠方でお墓を守れないなどさまざまな事情を抱えた方がいます。ここ延暦寺大霊園でも、そうした現代の事情を背景に“永代供養”を選択される方が増えています。お墓の形や形式などは時代に合わせても良いのですが、古来より日本文化に根付いてきた「お墓に対する考え方」は、今後も受け継がれるべきだと思います。

琵琶湖を望む比良山麓に広がる

比叡山延暦寺大霊園

伝教大師・最澄により開かれ、数多くの各宗祖師を生み出した日本仏教の母山「比叡山延暦寺」に護られし霊園

永代変わることのない静かで美しい環境

祖先の恩徳に酬い、お徳をいただいて子孫の末永い
幸せが続きますよう比叡山延暦寺が供養いたします。


総本山 比叡山延暦寺 比叡山延暦寺大霊園
大津市伊香立上竜華町703
お問い合わせ・資料請求 0120-72-4100
(受付時間/午前9時~午後5時)http://enryakuji-daireien.jp/

取材:2018年9月

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