日産株主、現経営陣にも憤り「不正見抜けず責任は重大」

日産自動車の臨時株主総会へ向かう株主ら=東京都港区

 「裏切られた思い」「真実を聞きに来た」-。8日に東京都内のホテルで開かれた日産自動車の株主総会の会場。会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕された前会長カルロス・ゴーン容疑者の事件に関する説明を求めて多数の株主が詰め掛け、現経営陣の責任を問う声も相次いだ。

 ゴーン容疑者の印象を「フレンドリーな振る舞いや歯切れの良さに好感を持っていた」と話すのは川崎市高津区の女性(71)。だがゴーン容疑者が日本市場を軽視し、私利私欲による不正行為が発覚したことに「日本人として心外だ」と切り捨てた。

 西川広人社長は総会で、早期の引責辞任を否定したが、都内の男性(70)は「これだけ長い間不正を見抜けなかった責任は重大」と語気を強めた。

 新潟市から駆け付けたという女性(54)も「現経営陣も進退を決めるべきだ。6月の定時株主総会でそういう話を聞きたい」と憤る。西川社長はゴーン容疑者の不正を「巧妙な手口」と繰り返したが、この女性は「巧妙だから分からなかった、と自らを正当化したのは納得できない」と強調した。

 自動車業界ではグローバル競争が激化し、電動化を見据えて統合や連携の動きが加速する。千葉県の80代男性は「日産もスピード感を持って前進を」と注文した。

© 株式会社神奈川新聞社