【やすらぎ集中配信】加賀まりこは倉本聰の脚本に不満(?)でも「私みたいなテンションの高い役も必要」

【やすらぎ集中配信】加賀まりこは倉本聰の脚本に不満(?)でも「私みたいなテンションの高い役も必要」

脚本家・倉本聰先生がシニア世代のために書き下ろし、2017年に放送された帯ドラマ劇場「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)。石坂浩二さんを中心に浅丘ルリ子さん、加賀まりこさん、野際陽子さん、八千草薫さんら昭和を代表する豪華俳優陣が集結し、テレビ界に貢献した人のみが入居できる老人ホームでの日常が描かれていました。それから1年半。「やすらぎの刻~道」で「やすらぎの郷」のその後が描かれることに! さらに、石坂さん演じるシナリオライター・菊村栄が新たに生み出すシナリオとして、昭和から平成にかけての激動の時代を生きた山梨の養蚕農家のある夫婦の物語も並行して展開します。

2017年に放送された「やすらぎの郷」から引き続き、郷の居住者として登場する大女優・水谷マヤ。きつい口調だが悪気はなく、浅丘さん扮する白川冴子とはしばし言い合うものの良きコンビとして、館内の出来事に常に顔を出す役どころのマヤを演じる加賀さん。加賀さんに、1年間放送するという壮大な作品について伺いました!

──「やすらぎ」メンバーが再集結し、1年間やると決まった時のどのように思いましたか?

「まずはとにかく健康をキープすること。この年にもなると自信が持てないことなので心配です。私の役がいつも『大変(ていへん)だ、大変だ』って園内を駆けずり回っている役で、テンションの高さがないと成立しないので…。『倉本さん、私のこと殺す気?』って笑)」

──1年間やりきるための準備などはされていますか?

「準備と言っていいか分かりませんが、普段からジムに行ったり体を鍛えたりしてます。でも、どこから具合悪くなっていくか分からないから…」

──前回の「やすらぎの郷」の反響があって今回また制作することになったと思いますが、どのような声が届いていましたか?

「『なんで終わっちゃうんですか?』っていうのが、まずあって。今回、またやるって決まって、皆さん楽しみになさっている人が多いですね。だって、芸能界の表方や裏方で働いていた方が集まって、みんなで一緒に暮らしているなんて場所は現実ではないわけだから、面白いですよね。私たちだって、そんなところがあったら入りたいもん」

──やすらぎの郷「La Strada」に新たに入居されるメンバーもいらっしゃいます。

「実はまだ新加入の人たちと一緒のシーン撮ってないの。橋爪(功)さんくらいかな。それもほんのちょっとで」

──そうなんですね。では、これまで撮影したことについて何か教えてください。

「とにかく1週目がお薦めなんだけど、私と浅丘さん(が演じる水谷マヤと白川冴子)がさかのぼっていき、やすらぎの郷に入る十何年か前っていう設定で、私たちがまだ女優さんだったころという週なんですよ。それは若作りして奇麗に撮ってもらっているのと、なんでこのやすらぎの郷に到達したかが分かるような話なんだけど、すごく悲しいの。奇麗に映ってはいるんだけど、悲しくて…。でも、それはぜひ見ていただきたい。うまくいったと思います」

──今後の撮影での楽しみについてはどうですか?

「まだ全然ドタバタのシーンを撮っていなくて。『あの人が入ってくる!』っていうニュースを私がどこかで聞いて、『大変(ていへん)だ、大変だ』って言って回るところは撮っているけど、実際にその人たちが入ってきてからがどうなるのか楽しみですね」

──水谷マヤ役を1年半ぶりに演じてみた感想はいかがですか?

「私の役は…。『倉本さん、私がどれだけ元気だと思ってんのよ。殺す気?』っていう感じよ(笑)。本当にいつもテンション高くしてなきゃなんなくて、疲れます。前よりもずっと…。まあでも、私みたいな役の人も必要だからね」

──今回は「道」という別世界もあります。

「私もあちらに出ますよ。機を織って生活している農民の姉妹役で。それももう撮影をやりました。まだまだ撮るところも残っているけど。雰囲気は全然違いますね。兵ちゃん(石坂浩二)が演じる菊村栄が想像の中で思っている私たちと、実際にやすらぎの郷で一緒に生活している私たちと、さらにその農民でも、ドラマにしたらどうだろうって彼が勝手に思う私たちの姿と、実際に根来公平さんたち、つまり風間(俊介)くんたちと芝居するシーンとでは全然違くて…。だから結構面倒くさいというか、分かりづらいのよ(笑)。15年前があり、石坂さんの脳内で演じている農夫の役があり、実際に演じる農夫の役があり、また郷にいる私たちっていう…」

──日によっていろんな役を演じ分けなければならないということで、混同したりしませんか?

「それはなんないわよ。プロなんだから(笑)」

──失礼いたしました。素人からすると、切り替えができるのかっていうのが疑問になりまして…。今回、このドラマはテレビ朝日60周年記念という位置づけになりますが、そのことについてはどのようにお考えですか?

「偉いわねえ、こういうのにお金使って。素晴らしいと思います。NHK以外で考えた場合、今はなかなかこんな作品やろうと思う局ないでしょ?」

──テレビ朝日で何か心に残っていることについて何か教えてください。

「『ポーラ名作劇場』ってテレ朝だったわよね。(NETテレビ時代の1963年1月~79年3月に放送されたドラマ枠)『ポーラ名作劇場』っていうのは、とてもいいドラマをいっぱいやってたなっていうのは思ったし、私も『おはん』(78年1月2日~1月23日放送)とかに出ています。あとは向田(邦子)さんが書いた『七色とんがらし』(76年5月20日~10月7日放送)とかにも。だから、そういう良いものを作るっていうイメージの局です」

──ドラマがスタートして1カ月もしないうちに新しい元号に変わりますが、平成を振り返っていかがでしたか?

「平成って30年よね。振り返ってみて、あれがいつの時代の何だったかっていうのは思い出せないけど、でも考えてみたら、45歳くらいから女優という仕事が楽しくなってきたのは確かよね。コクのある役が回ってくるようになってきたのかな。それで平成に入ったことから楽しくなってきて、ずっと過ごしてきてね。なんて、ちょっと謙虚に言ってますけど(笑)」

──なるほど。では、最後にドラマを楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

「大丈夫よ、面白いから(笑)。保証するから見てね」

──ありがとうございました!

【プロフィール】


加賀まりこ(かが まりこ)
1943年12月11日生まれ。東京都出身。1962年に「涙を、獅子のたて髪に」で映画デビュー。数多くのテレビドラマや映画に出演し、1981年に映画「夕暮れまで」での第23回ブルーリボン賞・助演女優賞など受賞歴も多数。最近の出演は「相棒season16最終回スペシャル」、「僕とシッポと神楽坂」(ともにテレビ朝日系)など。

【番組情報】


テレビ朝日開局60周年記念 帯ドラマ劇場「やすらぎの刻~道」
テレビ朝日系
月~金曜 午後0:30~0:50

テレビ朝日担当 K・T

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