2人はね逃走の飲酒女、戻って被害者ひきなおす アルコール社会問題化するロシア

By 太田清

事故について発表するスベルドロフスク州内務省本部のサイトから

 ロシアではかねてから飲酒運転による事故が社会問題化しており、2010年には運転者の血液や呼気中のアルコール濃度に関係なく、一律に飲酒運転を禁止する法律が施行されるなど当局もその取り締まりに懸命となっているが、たんなる飲酒運転事故では驚かないロシアメディアも相次いで取り上げる非常識な事故が起きた。 

 ニュースサイト「ガゼータ・ルー」などによると、ウラル地方のスベルドロフスク州ベラヤルスキーで6日午前0時半ごろ、日本製のSUVが道の端を歩いていた17歳の女性2人をはね逃走。驚いたことに車はUターンし数分後に現場に戻り、なお路上に倒れていた女性をひき逃走した。 

 うち一人は頭部にけがを負ったほか骨盤骨折、もう一人は同様に頭部のけがと背骨の圧迫骨折を負ういずれも重傷で現在、集中治療室で治療を受けている。警察は防犯カメラの映像から車のナンバーを割り出し、地元に住む34歳の女を拘束。呼気からは酩酊状態であることを示すアルコールが検出され飲酒運転であることが発覚、警察が飲酒運転、ひき逃げ容疑などで取り調べを進めている。 

 女が現場に戻り、再び女性をひいた理由は不明だが、証拠隠滅を図った疑いもある。はねられた2人は自発光式反射材を着用していたにもかかわらず事故に遭った。女性1人はかろうじて自力で立ち上がり安全な場所に逃げたが、もう一人は意識もなく路上に横たわっていたところを再度、ひかれた。 

 ロシアでは最近、世間を騒がせる飲酒運転事故が続発。1月末にはチュバシ共和国で内務省の捜査官が飲酒ひき逃げ事故を起こし79歳の女性が死亡、67歳の女性が重傷を負った。捜査官は起訴され、同省を罷免された。 

 昨年12月末には、南部クラスノダールで地元の軍事法廷の判事が飲酒運転で歩行者をはねた。靱帯破断、膝蓋骨脱臼などの重傷を負った18歳の女性に対し「なにを大騒ぎしてるんだ、お金をあげるから話を付けよう」と提案したものの女性が拒否したことから逃走。進路をふさいだほかの車に対し「全員、ぶち込んでやる」とののしった。 

 その後、警察が駆けつけたものの判事は拘束されず帰宅。本格的な捜査が始まったのは事故現場を写したビデオ映像がネット上で公開され、判事が言い逃れできなくなった後だったという。 (共同通信=太田清)

© 一般社団法人共同通信社