【大学野球】東北福祉大野球場が人工芝に “大魔神”佐々木氏、阪神矢野監督ら育った虎の穴

全面人工芝にリニューアルされた東北福祉大の野球場【写真:高橋昌江】

人工芝は神宮球場と同じ仕様、マウンドも高さと角度が同じ

 仙台六大学リーグの会場にもなり、昨年の大学選手権で14年ぶりに優勝した東北福祉大の野球場が全面人工芝にリニューアルされた。13日から始まるリーグ戦を前に8日、リーグに所属する東北大、仙台大、宮城教育大が練習を行い、ノックなどで敷設された人工芝の感触を確かめた。

 1982年に完成した東北福祉大学野球場。東北福祉大の練習場として、日米で活躍した“大魔神”佐々木主浩氏や斎藤隆氏、阪神の矢野燿大監督、金本知憲前監督らが汗を流し、全国優勝3回、同準優勝10回の栄冠を支えてきた。

 仙台六大学のリーグ戦会場としても使用され、東北学院大・岸孝之投手(現楽天)がリーグ戦34連覇中の東北福祉大を倒すなど、数々の名勝負も繰り広げられてきた。しかし、水はけの悪さや老朽化もあり、このほど全面人工芝に改修。観客席もリフォームした工事は昨年11月から始まり、今月1日に東北福祉大に引き渡された。

 人工芝の感触などを確かめた東北大の中堅手・山口敦純主将は「以前は打球がイレギュラーすることもあったが、(人工芝になり)捕球がしやすくなると思う」と歓迎。ただ、まだできたてで人工芝が新しいことや選手の体への負担を考慮してゴムチップが通常より多いため、打球速度が落ちるという。

「守備の際は打球に対してチャージしていきたい」と山口主将。遊撃手の吉田幸一郎副主将も「人工芝は速い打球が来るが、思ったより転がってこないなと感じた」と話す。それでも「バウンドの読みやすさはある。以前はイレギュラーが怖かったが、思い切ったプレーができそう」と笑顔をのぞかせた。

 仙台大は講義のため、参加したのは、今秋のドラフト候補右腕・稲毛田渉や左腕の小林快ら7人。球場の人工芝は春秋の全国大会の会場となる明治神宮野球場と同じ仕様で、マウンドも高さや角度が同じだ。

「イレギュラーもしなく、砂ぼこりもない。めちゃくちゃ使いやすい」

 今春のオープン戦で153キロをマークした稲毛田は「神宮もこんな感じ。ガラッと雰囲気が変わったなと感じたが、マウンドに使いづらい感じはなく、フィットした」と安心した様子。小林は「投げづらさはなかった」としながらも「打球は死ぬなと感じた。バント処理などは打球が転がってくるのを待つのではなく、捕りに行かないといけないと思う」と警戒した。

 昨秋3位からの巻き返しをはかる今季。内野手の吉澤優真副主将は「イレギュラーを気にせずにプレーができる。オープン戦の内容は悪くないので、リーグ戦も気を引き締めてやっていきたい」と意気込みを語った。

 ここが本拠地となる東北福祉大は1日に神事が執り行われて以降、紅白戦やオープン戦で使ってきた。「最高ですよ。選手のプレーしている表情がすごくいいので、大学には感謝している」と元西武の大塚光二監督は語る。石巻専修大とのオープン戦が行われた6日は宮城県東部に暴風警報が発令され、JRが運転を見合わせるほどの強風だったが、砂ぼこりを気にせずに試合ができた。「これまではこんなに強い風が吹いたら、タイムが何回もかかっていたが、1回もタイムがかからずに済んだ」と大塚監督。試合の進行もスムーズになりそうだ。

 東北福祉大・岩崎魁人主将も「イレギュラーもしなく、砂ぼこりもない。めちゃくちゃ使いやすい」と感謝。改修工事はグラウンドが人工芝になっただけではない。これまでのベンチをロッカールームに改装し、その前にベンチを新設。一塁側、三塁側のベンチそれぞれにトイレも設置された。

 岩崎主将は「前はベンチが狭く、ベンチ内の移動がきつかったが、広くなり、ゆとりがある」と話す。昨年は14年ぶりに大学選手権を制覇。今年は連覇がかかるが、「リーグ戦を勝たないと連覇はない。先の目標は大事だが、目の前の試合を積み重ねていきたい」と一戦必勝を誓う。装いを新たにした東北福祉大学野球場。仙台六大学のリーグ戦は13日に東北福祉大対宮城教育大で開幕し、来月26日まで7週に渡って熱戦が繰り広げられる。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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