藤原氏と源氏 過去乗り超え友好を 平泉町、鎌倉市へ中尊寺ハス寄贈

薄い桃色の花を咲かせる中尊寺ハス(中尊寺提供)

 岩手県平泉町は9日、奥州藤原氏ゆかりの中尊寺の池に咲く「中尊寺ハス」の株5株を神奈川県鎌倉市に寄贈した。11月に迎える市制80周年の記念事業の一環。平泉を拠点とした同氏を源頼朝が滅ぼした過去を超え、交流を深めたいとの両市町の願いをハスに込めた。

 中尊寺ハスは、同寺の発掘調査で見つかった種子から開花したもの。寺の池に植えられ、薄い桃色の花を咲かせる。

 同町で昨年10月、源義経らとゆかりのある自治体が集うサミットで、松尾崇市長が青木幸保町長からハスの話を聞き、寄贈されることになった。

 市は見頃を迎える6月末ごろに国指定史跡「永福寺(ようふくじ)跡」(同市二階堂)で公開する予定。永福寺は中尊寺など奥州の寺院の壮大な造りに感銘を受けた頼朝が、奥州攻めで命を落とした数万の将兵らの供養のために建立したとされる。

 9日に永福寺跡で贈呈式が行われ、青木町長や中尊寺の三浦章興執事らが出席。青木町長は「多くの霊を弔うこの地で、新たな花を咲かせることは意義がある。互いに歴史を認識し、さらに交流を深めたい」とあいさつ。松尾市長は「平泉と鎌倉の友好の証しにしたい」と応じた。

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