女性演歌歌手の通算8作目。AKB48卒業後は本格的な演歌路線で力んだ歌唱も見られたが、本作ではアイドルとしての経歴も活かした軽やかな作風でひと皮むけた気がした。
表題曲は秋元康が作詞を手がけた、恋の終わりを描いたミディアム歌謡曲。なかにし礼や荒木とよひさのような含みや憂いは無く、あくまでも字面通りの明解な歌詞で、それゆえ歌声の若々しさが前面に出ている。とんねるずの『雨の西麻布』や『人情岬』などが好きな人に是非オススメ。
カップリングの『別れの予感』では、サビでどんどん高音になる部分で思わず応援したくなるし、もう1曲の『お久しぶりね』もコブシを回しつつキュートに止める所なんて、思わず合いの手を入れたくなる。この辺りの聴き手を引き込むテクニックは、初期の松田聖子を想起させるほど高度なので、このまま極めてほしい。
初回盤では『あなた』(小坂明子)、通常盤Aでは『別れの予感』のほか『恋の奴隷』も収録。本作を聴けば、どんな経歴もいずれ身を助けるものだと実感するはず。
(徳間ジャパン・通常盤B 952円+税)=臼井孝