阪神梅野のサイクル安打は捕手としてわずか4例目の快挙 過去の達成者は…

阪神・梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

9日のDeNA戦で達成、捕手としては2004年の細川以来の快挙

 阪神の梅野隆太郎捕手が9日のDeNA戦でサイクル安打を記録した。NPBで今季初、史上69人目、通算74回目の快挙だった。

 この日の梅野は「8番・捕手」で先発。2回に右三塁打(打点2)、4回に右前打、6回は三ゴロ、8回に左中間本塁打(打点1)と打ち、同じ回にもう一度打順が巡って右中間二塁打(打点1)で、大記録を達成した。

 梅野の記録はセ・リーグでは39回目。過去に69人の達成者がいるサイクル安打だが、捕手の達成は梅野も含めてわずか4例目だ。

門前真佐人(大洋 1950.6.27中日戦)
「6番・捕手」 左安・中飛・左本・右2・右3

田村藤夫(日本ハム 1989.10.1ダイエー戦)
「8番・捕手」 右3・左本・中飛・左安・左2

細川亨(西武 2004.4.4日ハム戦)
「8番・捕手」 左2・左3・左本・中安・三振

梅野隆太郎(阪神 2019.4.9DeNA戦)
「8番・捕手」 右3・右安・三ゴ・左本・右2

 このほか、西鉄ライオンズの正捕手だった和田博実が1968年5月28日の南海戦でサイクル安打を達成しているが、この試合では和田は「7番・一塁」で先発していた。また日本ハムの正捕手だった大宮龍男も1980年7月29日の南海戦で達成しているが、これも「6番・指名打者」での出場だった。

三塁打が少ない三塁手、梅野はキャリア7本目

 門前は草創期のタイガースで活躍した捕手。金星を経て戦後大洋に移籍し、捕手として最初、NPB史上4人目、セ2人目のサイクル安打を記録した。達成した1950年は極端な打高投低だったが、門前は110打点を記録している。

 田村は日本ハム1980年代から90年代に活躍した正捕手。1993年にベストナイン、ゴールデングラブ。サイクル安打はNPB史上42人目、パ24人目だった。

 細川は現役捕手。西武、ソフトバンク、楽天を経て今季からロッテ。2008年と2011年にベストナイン、ゴールデングラブ。梅野も含め、4人の捕手はいずれも正捕手としてチームに貢献している。

 一般的に捕手は足の速い選手が少ないとされる。このために三塁打を打つのが難しく、サイクル安打が少ないと考えられる。通算三塁打数は、門前が30本、田村は16本、現役の細川は8本、梅野はこのサイクル安打でようやく7本目だ。

 梅野は2013年ドラフト4位で阪神に入団。俊敏な守備と強肩で売り出した。課題は打撃。そのために原口文仁などと競り合っていたが、昨年、正捕手に定着。初めて.250を超える打率.259をマークしたが、今年はさらに好調で、今日の成績を加えて30打数13安打1本塁打5打点、打率.433だ。

 強打の捕手が誕生すれば、打線の穴がなくなる。梅野は守備だけでなく攻撃でも貢献度の高い捕手になりつつある。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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