佐賀県分 一部肩代わり難色 中村知事、全線フル要望 与党検討委

九州新幹線長崎ルート整備を巡る与党検討委に出席した中村知事(中央)=衆院第2議員会館

 九州新幹線長崎ルート未着工区間の新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)の整備方式を話し合う与党検討委員会が9日、東京都内であり、出席した長崎県の中村法道知事が全線フル規格での整備を改めて要望した。多額の財源に難色を示す佐賀県の負担を一部肩代わりすることには「ルールを超えた負担はしっかりとした説明が必要。そうでないと県民の理解が得られない」と難色を示した。

 検討委で中村知事は全線フル整備に加え、2022年度の暫定開業時から導入される、新幹線と在来線特急を乗り継ぐ対面乗り換え方式の解消に向けて早期に整備方針を示すよう要望。地方負担と並行在来線の課題解決に向けた方策提示や、20年度予算に全線フルを前提とした環境影響評価(アセス)調査費を計上することも求めた。

 長崎ルートの並行在来線区間はまだ定義づけされていないが、中村知事は新鳥栖-武雄温泉については「利用者も多く、長崎本線や佐世保線、唐津線と直結した重要な幹線」として、引き続きJR九州が経営していくことを要請した。

 会合では委員から中村知事に「財源負担について柔軟に考えることはできないか」と佐賀県分の一部肩代わりを問われる場面があった。中村知事は会合後「長崎県が全線フルを望み、佐賀県が地元負担を大きな課題としている点をもって単純に肩代わりするのはなかなか難しい」と述べた。

 長崎ルートの整備方式は全線フルとミニ新幹線の2案が挙がっているが、検討委は時間短縮効果や投資効果が高く、JR九州も要望する全線フルを軸に検討を進めている。4月中に佐賀県から意見を聞き、6月ごろまでに一定の方向性を決めたい考え。

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