毛玉 「まちのあかり」自分自身の速度で世界を凝視すること。そこから生まれる音。

自分自身の速度で世界を凝視すること。そこから生まれる音。

都内を中心に精力的にライブ活動を行っているバンド”毛玉”の三枚目のアルバム。これまでの二作で描いてきた世界が広がり、強いエネルギーがある作品だ。彼らの曲の多くは日常の風景を一歩引いた視点で描いている。当事者でありながらそれを俯瞰で見ているもう一人の自分が存在する。決して現実の速度に振り回されることなく、あくまでも自分自身が納得できる速度で目の前の物事を凝視しているように感じられる。そうした凝視を経て作られるからこそ、作曲においてさまざまな要素を用いていたとしても一本筋の通った作品として成立するのではないだろうか。そして、だからこそこの時間感覚がストレートにリスナーに伝わる。バンドが自分たち固有の時間感覚をしっかりと自覚しさらにそれを曲に落とし込むことによって、これまで以上に多くのリスナーに届くであろう作品が誕生した。(ネイキッドロフト:加藤裕士)

© 有限会社ルーフトップ