【ハンドボール】春季リーグ開幕前対談! 佐藤主将×横溝副将×清水副将

3人を中心にチームは一体となって戦う(左から清水、佐藤、横溝)

4月13日(土)、今年の春季リーグ戦が開幕する。昨年は秋季リーグで4位に食い込み、目標の1つである関東インカレ出場まであと一歩のところまで迫ったものの、今年はタレント揃いだった上の代が卒業し、戦力ダウンは否めない。だが、だからこそチーム全体が一丸となって発揮する「一体感」という武器がある。開幕を前に、主将の佐藤圭一郎(経4・湘南)と、2人の副将・横溝卓也(法4・慶應)と清水大毅(経4・慶應)の3人にお話を伺った。

――まず初めに、お互いの紹介をお願いします。

佐藤(→横溝):僕たちの代では珍しく、1年生の時から試合に出ていて、サウスポーで今はエースを張っています。左利きはとても有利なので、自分の立ち位置を確立しています。1年から出ていることもあり経験は1番豊富なので、今年の活躍が期待されるエースです。穏やかな性格で、人から嫌われないんです。その穏やかさがプレーに出て、強気にいけないところもあります。

横溝(→清水):僕からもう1人の副将の清水を紹介します。彼はゴールキーパーで、いわゆる守護神です。高校の頃から一緒にプレーして今年で7年目の長い付き合いです。普段はゆるい奴なんですが、プレーになるとやはりしっかりしているし、いざと言う時に頼りになる、チームが困っている時に助けてくれる頼りがいのある人ですね。

清水(→佐藤):こちらは主将の佐藤です。1年生の頃からリーダーシップを発揮してくれていて。雑用を進んでやってくれたり、他の部員にアドバイスをしたりなど、リーダーシップを持ってやっていて、主将を決める時にもこいつしかいないとなりました。今までの主将とは違って、チームを自分で引っ張るというよりは、周りとコミュニケーションをとってみんなでチームを動かすというタイプの主将です。後輩からの意見も出やすいですし、彼への親近感という点ではチームの一体感が出ています。

――みなさんが主将、副将に就任された経緯を教えてください。

佐藤:2年の時から学年幹部という形で選ばれていました。学年ミーティングの中で、僕たちの代は試合に出ている代ではなかったので、学年で一体感をもって、アドバイスし合ったりといった時間を多く割いていました。試合に出る経験のある選手が少ないというのはこの代のひとつの弱点だったので、どういう思いでハンドボールをするかなどの話し合いをよくしていました。いざ主将を決める時に、僕が立候補して決まりました。

横溝:副将も立候補です。例年、副将は1人なんですが結果的に2人になりました。お互いどうチームに貢献するかという話をして、みんなに納得してもらって副将になりました。

佐藤:チームに責任感を持つ人間が多いと学年ミーティングでも周りが行き詰まった時に発言する力、それでみんなを納得させる力がこの2人にはあると思います。

――みなさんがハンドボールを始めたきっかけはなんですか

清水:中学までは野球をやっていたんですが、高校で新しくスポーツを始めたいと思っていたんです。友達の紹介で、自信のある肩の力を生かせるハンドボールに出会いました。実際に試合を見る中で、スピード感や迫力に惹かれて入部を決めました。キーパーになったきっかけとしては、1学年部員が30人ほどいる中でなんとしても試合に出たいと思った際に、異質なポジションではあるもののキーパーをやる中で得られるものもあるのではないかと思ったからです。

横溝:中学ではテニスをやっていました。チームワークを重視される団体競技を始めたいと思い、見に行ったハンドボールの試合で跳んで投げるというあのダイナミックさに憧れて入部しました。

佐藤:中学までは陸上をやっていて、僕もチームスポーツを始めたいと思いました。走ること、投げることを生かせるスポーツということで、大好きだったドッジボールみたいに投げて点を取れることが気に入りました。

――普段はどんな活動をされていますか

佐藤:週6回練習を蝮谷体育館で行なっていて、1時間はボールを使った練習、そして1時間ウェイトトレーニングをしています。チームの目標としては、今所属する関東大学ハンドボールリーグ2部から1部へ昇格することです。僕たちが入部した時は2部10位だったのですが、その後7位、5位、5位、5位、4位と実力はついてきています。2部の2位以内に入れば東日本インカレに出場できるので、僕たちはそこを春リーグの目標としています。春にインカレに出て、秋のリーグ戦で1部に昇格、そして最後の早慶戦で勝利を目標に活動しています。

――去年の1年間を総括してください

佐藤:1つ上の代は1人1人上手いプレーヤーが多かった代でした。僕たちが入部した時、先輩方が2年の時からずっと試合に出ていたので、回を重ねるに連れてリーグ戦の順位も上がっていきました。だから去年で1部に上がれると思っていたんですが、叶いませんでした。チームの結束力というところでもっと上手くやれるんじゃないかと思うことが下の学年から見ていてありました。何ができなくて、どう改善するかが明確にならなかったと思います。それでも、プレーヤーとして素晴らしかった先輩方が抜けて自分たちの代が始まることには不安が多いです。2部の4位までチームを引き上げてくれた、先輩方が作り上げたものは大切にしたいと思います。

横溝:僕は一緒に試合でプレーする中で先輩のすごさを間近で感じていたので、このまま1部に昇格できると本当に信じていました。けれど春も秋もあと1勝のところで勝ち切れない場面が続き、あと1勝の遠さ、重みを痛感した1年だったと思います。

清水:先輩方は練習メニューを始めとしてチームを引っ張ってくれていました。超えるべき目標としてずっと一緒にいてくれましたが、そんな先輩方でも1部昇格や早慶戦勝利は成し遂げられなかったのは、厳しい世界だなと感じています。

――ではその昨シーズンに点数をつけるとしたら何点ですか

清水:75点です。Bチームで分析をしていたんですが、分析などプレー以外の場面でも全員がチームの勝利に向かってひとつの意識で動けていたかと言えばそうでもないと思います。意思疎通という点ではまだ不足があるなと思っていて。もっと同じ方向へ動けたのではないかというところから点を引かせてもらいました。

佐藤:60点です。僕も試合に出ていないBチームの、部への貢献という意識を見せることがあまりできなかったと思うことから、この点数ですね。「ONE」というチームスローガンを掲げていたのに、結束ができなかったので。

横溝:70点です。ここ数年では1番多く勝ち星を挙げながらも、振り返ればインカレ出場、1部昇格、早慶戦勝利という目標は達成できませんでした。それぞれ10点ずつ引いてこの点数になりました。

――昨シーズンを踏まえ、この春休みはどんなことに取り組んできましたか

佐藤:「ONE」という目標に向かって、全員で取り組む、全員が何かしらの形でチームに貢献することを強化してきました。フィジカル、分析、広報と部門を3つ作って、部のフィジカルは清水を、分析は横溝を中心にやっていくことになりました。試合に出られないといっても、最上級生だからチームに貢献しないと、ということで。また、合宿はこれまでA,B分かれていたものを全員で行くことにしました。試合に出ていないメンバーも試合後に講評を寄せるようにしたり、ミーティング中も1,2年生の発言の機会を設けたりと新しい試みもしています。また去年できた、3学年が1人ずつで班を組む縦割り制度も継続して行なっていますが、練習前と後に縦割り班でミーティングをするようにしました。練習前はこう言っていたが実際はこうだった、などのコミュニケーションが学年を超えて自然と出てくるようになりました。

清水:ウェイトの目標は去年までは明確ではなくて、個人の裁量に任されていました。やはり1部に行くにはフィジカルを計画的にやることが必須だと思ったので、チームとして全体の底上げを図っています。ウェイトトレーニングでは培われない瞬発力もハンドボールでは必要な要素なので、他大学のメニューから自重トレーニングを取り入れています。実際にボックスジャンプやミニハードルなど器具も新しく取り入れています。

横溝:試合に出た経験のある選手が少ないので、日々、自分たちのプレーを振り返るのが大事だなと思っています。スプライザという分析ソフトを取り入れて、その動画に対してのフィードバックを積極的にするようにしています。

――今年の新チームの注目ポイントなどはありますか

佐藤:やはり、1,2年生の意見をすごく聞けている実感があります。勢いとしては1,2年生が意見を出してくれて盛り上げてくれるし、後輩からの声を聞けるチームが強いと思えるので、特に塚本(清修、政3・慶應)田中(稜、環3・近江兄弟社)の2人が学年幹部としてやっているんですけど、彼らもチームを引っ張る意識があります。3学年みんな試合に出られそうな実感があると思うので、みんながモチベーションを高く保てているのが強みだと思います。

横溝:去年から主力メンバーが抜けて、今年はある意味奢りがないと思います。チームの一体感ももちろんです。

清水:同じくチームワークや一体感です。そういうところで自分を出していけたらなと思います。

佐藤:チームスローガンは今年も「ONE」ですが、サブタイトルとして「愛し愛される」を掲げました。強くても奢りのあるチームは愛されないと思うので、上手くないなら上手くないなりに、ボールに飛びつく姿勢を見せることで愛されるチームになれるということでこれを掲げました。

――逆に、新チームの課題は

佐藤:やはり試合経験です。今まで公式戦に出たことのあるメンバーが各学年2,3人ずつなので、函館と豊橋で行われる2つの合宿に全員両方参加することで試合に出る経験を積むことはしていました。しかし公式戦が始まるとまた意識が変わってくると思います。そこで固くなりすぎないことが課題ですね。

横溝:選手層です。去年に比べて層が薄いので、1人が離脱した場合の穴埋めが課題だと思います。リーグ戦は9試合と長い戦いなので、離脱者が出ることはよくあることなので。

清水:僕自身も試合経験は少なくて。スローガンの「愛し愛される」に向けて、泥臭くやっていくしかないと思っています。各々が最大のパフォーマンスを発揮できるように函館と豊橋で経験を積んできました。春リーグで最高のパフォーマンスを発揮して「愛し愛される」チームを目指したいです。

――そんな中で今年のキーパーソンは誰になると思いますか

横溝:山下達暉(経4・慶應)です。彼は中学からの仲で、大学では怪我が多くて試合に出る機会は少なかったんですが、彼は点を取る技術を持っています。それを発揮して、チームが勝てたらと思います。そういう意味で一番期待している選手です。

清水:高校から知っているこの横溝ですかね。高校の頃から、彼が調子がいいとチームに活気が出てくるんですが、大学でもそれが見られることがありました。下級生の頃から試合に出ている中で、最上級生となるこれからは彼を中心にチームを盛り上げていってほしいと思います。

佐藤:2人考えていたんですが2人とも挙がらなかったので話したいと思います。1人目は先ほど話した学年幹部の塚本です。 彼はディフェンスでもオフェンスでも中心となる、チームの流れを左右する立ち位置にいます。去年から試合に出ていましたが、今年はフィジカルを鍛えてプレーに迫力も出てきました。自分に相手ディフェンスを集めて他のポジションの先輩にパスを回す、というプレーが上手かった彼ですが、今年は自分で点を取りにいく姿勢が強くなってきたので、現状では彼が中心になる選手だと思います。もう1人の田中は、実績はあるもののベンチにいることが多かった彼ですが、豊橋の合宿でも全ての試合でスタメンを張っていました。彼の中の今までくすぶっていた能力がそろそろ爆発するんじゃないかと思っています。上手いだけでなくお調子者な一面もあるので、彼がいい波に乗ればチームも上向きになると思います。

――初戦の相手となる大東文化大の印象は

清水:体格で押すというよりは、個人のスピード感やキレで勝負してきます。瞬発力が武器なので、自分達も今鍛えている瞬発力で対抗したいと思います。

佐藤:雰囲気を作るのが上手いチームなので、波に乗せないよう、相手にリードされて面倒なことにならないようにしたいです。

――大事な試合になるのはどのカードだと思いますか

佐藤:去年4位だったので、比較的に下位のチームから順に当たっていくので、(4月21日の)関東学院大との試合に勝てれば勝ち星を連ねたまま、いい流れで上位チームに当たっていけると思います。

――最後に今年の意気込みをお願いします

横溝:入部した時から「早稲田に勝ちたい」と思っていた中で、まだ達成できていません。引退試合となる早慶戦がラストチャンスなので、残り1年、全力で駆け抜けたいです。

清水:高校から始めたハンドボール人生の集大成にしたいです。これまで試合に出られなかった分、最後に持てる力を爆発させて有終の美を飾りたいと思います。

佐藤:客観的に見たら例年より戦力が劣ってはいますが、そういう年が意外と強かったりすることもあると思うんです。また、これは学生スポーツなので全員が主体性をもって取り組む環境が大切だと思っています。それについては絶対的な自信があるので、このまま勝てば周りは驚くだろうなと内心ワクワクしています。

――ありがとうございました!

平成31年度関東学生ハンドボール連盟春季リーグ日程(部公式HPより)

4月13日(土) 15:30〜

VS大東文化大学

於)駿河台大学飯能キャンパス体育館

4月14日(日) 12:30〜

VS明星大学

於)駿河台大学飯能キャンパス体育館

4月21日(日) 11:00〜

VS関東学院大学

於)関東学院大学金沢文庫キャンパス体育館

4月27日(土) 15:30〜

VS東京大学

於)駿河台大学飯能キャンパス体育館

4月28日(日) 15:30〜

VS青山学院大学

於)駿河台大学飯能キャンパス体育館

5月4日(土) 14:00〜

VS上武大学

於)関東学院大学金沢文庫キャンパス体育館

5月5日(日) 17:00〜

VS順天堂大学

於)関東学院大学金沢文庫キャンパス体育館

5月12日(日) 15:30〜

VS桐蔭横浜大学

於)駿河台大学飯能キャンパス体育館

5月19日(日) 15:30〜

VS駿河台大学

於)明星大学

応援よろしくお願いします。

(記事:竹内大志、写真:野田快)

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