【MLB】元DeNAグリエル弟の鮮やか本盗、当事者たちの証言は…セールは“泣きっ面に蜂

本盗を決めたブルージェイズのルルデス・グリエルJr.【写真:Getty Images】

グリエルJr.は2死三塁で迷わずスタート「そこへ行くのが待てなかった」

■ブルージェイズ 7-5 レッドソックス(日本時間10日・ボストン)

 元DeNAのユリエスキ・グリエル内野手の弟で、ブルージェイズでプレーするルルデス・グリエルJr.内野手が9日(日本時間10日)の敵地レッドソックス戦で、メジャー屈指の左腕クリス・セール投手からホームスチールを決めた。MLB公式サイトは「グリエルJr.がクリス・セールからホームスチールを決める、ルルデス『ただ挑戦する機会をうかがっていて、やっただけ』」とのタイトルで特集を掲載し、グリエルJr.、セール、両監督がその中で本盗のシーンを振り返っている。

 ブルージェイズ2点リードの4回、2死三塁の場面。カウント1-1の3球目、セールが投球動作に入った瞬間にグリエルJr.はスタートを切った。捕手バスケスは中腰で捕球態勢に入ったものの、セールの投球は大きく逸れる暴投となり、グリエルJr.はヘッドスライディングでホームに滑り込んだ。

 2死三塁からスタートを切ったことについて、記事内で「基本的に、ホームプレートを見ていた。そこへ行くのが待てなかった」と明かすグリエルJr.。対するセールは「彼がスタートを切ったのが見えた。ボールを握り直そうとしたら、違う方向へ押してしまった」と振り返っている。

 ブルージェイズのチャーリー・モントーヨ監督は「チャンスをものにする必要があり、それを成し遂げた。最高だったね」とし、レッドソックスのアレックス・コーラ監督は「あの若手は一か八かにかけた。セールは投球を急いで、ワイルドピッチになった。もしセールが中心に真っ直ぐ球を投げていたら、5フィート(約1.5メートル)手前でアウトになっていただろう。彼らは積極的だった。それをやろうとしていた。我々はそれを知った。シーズン中、彼らはあまり仕掛けてくることはないが、今日は我々にプレッシャーを与えた」と相手を称えている。

 特集では、グリエルJr.は昨季、盗塁を1つしか決めておらず、ブルージェイズはこの試合の前までメジャーで今季盗塁がない唯一のチームだったと紹介。本人は「ただ挑戦する機会をうかがっていて、やっただけだ。毎日起こることではない。初めてやって、その瞬間はとても興奮したよ」と喜んだという。

本盗を決められた不調のセール「人生でこんな登板をしたかわからない」

 一方で、グリエルJr.に本盗を許したセールは開幕から苦しい投球が続いている。MLB公式サイトは「クリス・セールの苦心はホーム開幕戦でも続く、『これまで人生でこんな投球をしたかわからない』」との見出しで伝えている。

 記事では、クリス・セールの球速はキャリア最低の89.3マイル(約143.7キロ)だった前回登板からは改善されたが、全体的な結果はさらに悪くなったと言及。セールは「どうにかしようと思っている。取り組み続けている。それは今まで通り」とし、「みんな見ている。だがら歯がゆい。これまで人生でこんな登板をしたかわからない。タフな状況にいるが、戦い続ける」と試行錯誤しているようだ。

 ブルージェイズのモントーヨ監督は「彼はいつもいい投球をする。今、彼は95マイル(約152.9キロ)を投げない。彼は投げて90-91(約144.8-146.5キロ)マイル。だから95マイル(約152.9キロ)の時より少しだけ打ちやすいはずだ」とメジャー屈指の左腕を攻略できた理由を語っている。

 2020年から5年総額1億4500万ドル(約161億円)でレッドソックスと契約延長したばかりのセール。不調の中、グリエルJr.に本盗まで決められるという散々な内容で3連敗に。“泣きっ面に蜂”で、悪い意味で注目を集める結果となってしまった。(Full-Count編集部)

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