国内では長崎県対馬市だけに自生するナンザンスミレが、美津島町の山林でかれんな花を咲かせている。かつては島内各地で見られていたが、シカの食害などで近年は急速にその数が減少している。
市によると、ナンザンスミレはスミレ科の多年草で、朝鮮半島や中国東北部に分布。ソウル近郊の南山(ナムサン)で発見されたことから名付けられた。4月上旬に花が咲き、葉にヨモギの葉のような切れ込みがあるのが特徴。対馬では上島で白色、下島で淡い紅紫色の花が咲く傾向がある。
下島にある同町の山林には5株ほどが半日陰の草地に残っており、9日は高さ約10センチに伸びた茎から、紫色の筋が入った淡紅紫色の花を10輪ほど咲かせていた。
市文化交流・自然共生課の担当者は「シカの食害のほか、人による採集も減少要因の一つと考えられる。見つけた場合は、野生のまま楽しめるようそっと観賞してほしい」としている。見ごろは4月下旬まで。
かれん、淡紅紫色 対馬のナンザンスミレ
- Published
- 2019/04/12 00:01 (JST)
- Updated
- 2020/04/30 14:26 (JST)
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