てんりの昔ばなし

奈良県天理市 広報 町から町へ2019年4月号

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◆布留(ふる)の神剣(しんけん)-布留町(ちょう)-

昔(むかし)、布留の明神(みょうじん)にお仕(つか)えるする神主(かんぬし)が射矢(いや)の川(かわ)で東(ひがし)の方(ほう)を眺(なが)めていると、真白(まっしろ)い龍(りゅう)が白い雲(くも)に乗(の)って布留山(やま)の上(うえ)をぐるぐるとまわっているではありませんか。「なんときれいな龍が」とその不思議(ふしぎ)なものをみていると、白い龍は一(ひと)ふりの剣(つるぎ)を口(くち)にくわえて、山の上にその剣を落(お)とし、大(おお)きな音(おと)がしました。神主は、山が割(わ)れたのでないかと思(おも)い、そこにうつ伏(ぶ)してしまいました。
ハッと思って気がつくと白い龍はいずこへともなく去っていってしまいました。神主は夢(ゆめ)から覚(さ)めたような心地(ここち)で、その剣の落ちたところへ向(む)かい、川をさかのぼっていきました。どんどんと川をのぼっていくと、大きな石(いし)が七(なな)つ寄(よ)ったところに、一ふりの剣が突(つ)き刺(さ)さっているではありませんか。剣がその七つの石を刺し、みごとな輝(かがや)きでまぶしいほどでした。「これこそ明神様(さま)のお宝(たから)、白(はく)龍のお授(さず)かりもの」と大喜(よろこ)びして持(も)ち帰(かえ)り、布留明神の御(ご)神剣として大切(たいせつ)におまつりしたのでした。これが石上神宮(いそのかみじんぐう)の神宝(じんぽう)の中にある七支刀(しちしとう)のいわれでしょうか。
それとも川上(かみ)から流(なが)れてきた剣が布(ぬの)の中で留(と)まったという別(べつ)の伝説(でんせつ)にでてくる剣がそれなのでしょうか。七支刀は他(た)に類(るい)を見ない宝(ほう)剣であるだけに、神(かみ)のもたらした言(い)い伝(つた)えはさまざまなようです。

出典:「てんりの昔ばなし2」より