「ナチュラル・レトロモダン」に改修 小田急向ケ丘遊園駅

改修された向ケ丘遊園駅南口駅舎の外観(小田急電鉄提供)

 小田急電鉄は、生田緑地の表玄関である向ケ丘遊園駅(多摩区登戸)の南口駅舎と跨線(こせん)橋を改修した。92年前の駅開業時から北口駅舎に残るユニークなマンサード型屋根(腰折れ屋根)の特徴を南口駅舎にも採用。周囲に残る豊かな自然と歴史を意識し、「ナチュラル・レトロモダン」を改修のコンセプトに据えたという。

 同駅周辺には、生田緑地が広がり、藤子・F・不二雄ミュージアムやバラ苑(えん)、日本民家園、岡本太郎美術館など人気の文化施設が数多く集まっている。

 さらに向ケ丘遊園跡地では、温泉や商業、アウトドア施設を建設する再開発を同社が計画。2023年の竣工(しゅんこう)を予定しており、「これから価値の高まる向ケ丘遊園エリアの玄関口としてふさわしい駅にする」と改修を進めてきた。

 改修では、南口駅舎にマンサード型屋根を取り入れたほか、跨線橋の照明や壁面をレトロ感のある茶系統にそろえた。北口駅舎も原形を保存しながら、19年度中に外装を一新する方針という。

 同社によると、同駅は旧小田原急行鉄道開業の1927年に稲田登戸駅として敷設された。55年に駅名を向ケ丘遊園駅に変えた。

 北口駅舎のマンサード型屋根は2段階の傾斜が特徴。2階の小窓上部には建設当時の旧社紋が残されている。また、南北の駅舎をつなぐ跨線橋やホームの柱、はりの一部に廃材のレールを使うなど同社の歴史を現在に残す貴重な駅の一つとなっている。

 同駅の17年度の1日の平均乗降者数は約6万7千人で、小田急線全70駅中17番目となっている。

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