【MLB】マイコラスやメリル・ケリー 「日韓でプレーした選手が活躍する理由」とは…

メリル・ケリーとマイルズ・マイコラス【写真:Getty Images】

米メディア「ジ・アスレチック」が活躍の要因を考察

 元巨人でカージナルスのマイルズ・マイコラス投手は昨季18勝を挙げてナ・リーグ最多勝に輝くなど、メジャー復帰1年目で大活躍。今季は韓国からメジャー復帰したダイヤモンドバックスのメリル・ケリー投手が先発ローテの一角として奮闘している。そんな中、米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は「なぜ多くの投手たちが韓国と日本でプレーした後にMLBで成功しているのか」とのタイトルで特集を掲載。活躍の要因を考察している。

 記事では、かつてドン・ニューカム、ラリー・ドビー、ジョー・スタンカ、ジーン・バッキーなどのスター選手がキャリア終盤に日本でプレーしたことを紹介。最近10年でも、マイナーリーガーだったデニス・サファテとマーク・クルーンがNPBで絶対的な守護神として活躍したが、米国に戻る価値があるほどのオファーはなく、16年に沢村賞を受賞したクリス・ジョンソンも現時点では同じ状況にあると指摘している。キャリア晩年でソフトバンク、SKワイバーンズなど日韓4球団でプレーしたCJ・ニコースキーは「コメディアンが最終的にラスベガスに行くようなもの」だったと話している。

 記事内では、MLBのある球団幹部のコメントも紹介している。その幹部はこのように語っている。

「昨夏マイコラスがオールスターに選出され、昨年10月にブレイシアがボストンのブルペンのヒーローの1人だった。変わったんだよ。MLB球団のスカウトたちはポスティングでメジャーを目指す最高の日本人投手たちを見るためだけでなく、3Aで腐っていて日本か韓国に行って75万(約8630万円)から100万ドル(約1億1146万円)を稼ぐようになった投手たちも年に2、3回見に行き、メジャーリーグの打者からアウトを取れるように変わったのか見ている。西武にはカイル・マーティンという選手がいる。大型中継ぎ右腕でとても良いプロスペクトだったが、昨年日本に行き、本当に良い成績(防御率2.19)を残した。まだ28歳。私は彼が来年2月に恐らくメジャー契約でスプリングトレーニングにいると思う」

 また、かつてマイコラスをパドレスからレンジャーズにトレードしたパドレスのAJ・プレラーGMは「彼は投球フォームを磨き、全ての球種を改善し、カットボールを加え、オールスターの投手、球界最高の投手の1人として戻ってきた。カージナルスを称賛するよ。彼らは素晴らしい決断をした」としている。また、MLB球団は過去、アジアの野球レベルを「過小評価していたのか?」と問われ「そうかもしれない」と答えている。

メリル・ケリー語る「プレーオフで毎晩3万500人の前で投げる経験は素晴らしかった」

 日本や韓国のプロ野球で、大観衆の前でプレーする機会をも得られるのもメリットの1つだという。メリル・ケリーは記事内で「プレーオフで毎晩3万500人の前で投げる経験は素晴らしかった。自分の投球を向上することに注力できたし、投球が良くなければ、はっきりとそのように反応する大観衆の前で投げることもできた。集中力が必要とされた」と環境の良さ明かしている。

 ニコースキーは34歳の2007年に、ソフトバンクに移籍した時のことを振り返り「アジアにいるということを受け入れれば上手くいくと思う。我々はとても気に入っていたよ。妻は楽しんでいて、2人の息子もそこで育ったよ」と語っている。また、楽天のフランク・ハーマンは「(日本で活躍できた要因は)毎回登板後にビクビクしなくていいんだ。“4Aの選手”の場合、1度失敗するか、自分の仕事をしても延長戦になった場合、マイナーに降格する可能性がある。苦しい精神状態だよ」と、精神面についても言及している。

 広島のクリス・ジョンソン投手は日米の打者の違いについて記事内で「日本では本塁打重視でなく、打者はコンタクトが得意だから、カウント毎に違う投球をしなければならない」と明かしている。「3-1のカウントでカットボールとスライダーを投げ始めた。3Aでスライダーを投げ始め、日本で磨き続けたよ。アメリカにいた時よりも投球を磨いたから、今までで一番の状態だよ。プロスペクトの時は92~94マイル(約148~151キロ)だったけど、今は球速が上がった。4球種投げられる。ここで生き残るために学ばなければならなかった」と日本での成長も実感しているようだ。

 今日本でプレーしている外国人選手の多くが、日本で活躍することでMLBに復帰する足掛かりにしたいと考えているだろう。次にマイコラスに続くのは誰になるのか注目したい。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2