代行サービス開始 買い物弱者 支援 平戸の業者、見守りも

買い物代行サービスを始めた有安さん夫妻=平戸市中野大久保町

 長崎県平戸市中野大久保町の自転車型電動バイク製造・販売会社「ISOLA(イソラ)」は、10キロほど離れた中心部での買い物代行サービスを始めた。高齢者ら「買い物弱者」から注文を受けて品物を届け、離れて暮らす家族がいれば近況を知らせる写真を送り、見守り支援でも一役買いたいとしている。
 同社のある中野小校区の高齢化率は41.58%(3月1日現在)。市内に公共交通機関が少なく、同社に併設する自動車整備工場には、高齢者から運転免許証の自主返納の相談が寄せられるという。買い物代行の需要が高まると同社の有安勝也社長(35)の妻、直子さん(38)が発案した。
 登録した人は、電話やファクスなどで買い物を注文し、希望日に自宅に届けてもらうサービスを月4回受けられる。買い物代金は立て替え払い。離れて暮らす家族に向けて利用者の写真を無料通信アプリLINE(ライン)などで送信する。
 平戸では、市が65歳以上の人の買い物やごみ捨てなどの手伝いを100円で請け負う事業をシルバー人材センターに委託しているが、作業時間は30分程度に限定されている。市内に宅配をするスーパーもあるが、店で一定額を購入した近隣の人に限っている。
 まちづくりに詳しい県立大経営学部の村上則夫教授(62)は「寝たきりや体の不自由な人の命を支えるサービス」と評価する。今後「高齢者の3K(金銭的な不安、孤立、健康不安)を防ぐため、行政と連携して、体調の悪い時は買い物代行を頼み、体調が良く会話を楽しみたいときはコミュニティーバスを利用するなど選択できるようになれば理想」と話す。
 有安社長は「高齢化が進む中、地域に根差す企業として役に立てれば」と抱負を話す。配達日は月、火、木、金曜の午前8時~午後5時。前日までに予約が必要。料金は5月10日まで1カ月4千円で以降5千円。問い合わせは同社(電0950.24.2633)。

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