ダブルクロス選を制した維新か、自公の意地か、野党共闘か、それとも…?|4人が争う衆院大阪12区補選

北川知克衆議院議員の死去に伴う衆議院議員大阪12区補欠選挙が9日に告示され、届け出順に無所属で共産、自由両党推薦の元衆議院議員の宮本岳志氏、日本維新の会公認の新人・藤田文武氏、無所属で元衆議院議員の樽床伸二氏、故北川氏のおいで自民党公認・公明党推薦の新人北川晋平氏の4名が立候補しました。
7日に行われた大阪府知事大阪市長の「ダブルクロス」選挙では、日本維新の会が2勝。同時に行われた大阪府議会議員選挙大阪市議会議員選挙でも、日本維新の会が府議選で51議席、市議選では40議席を獲得し、府議会では過半数を超えるなど、日本維新の会の勢いが目立つ中での選挙となります。

大阪12区補選・各候補者の横顔

宮本岳志氏は1959年生まれで59歳。3月末に共産党所属だった衆議院議員を辞しての立候補で、共産党としては立候補予定者だった新人の吉井芳子氏に差し替えての擁立です。共産党の現職国会議員として初めて無所属での立候補となりました。

宮本氏と同じく1959年生まれで59歳の樽床伸二氏は、1996年に新進党の候補として初当選してから衆議院6回当選を果たし、故北川氏とは2000年の衆議院選挙からお互いに当選、落選を経験する激しい争いを繰り広げてきました。民主党政権下の2012年には総務大臣も歴任、今回の選挙は2017年に希望の党公認の比例近畿ブロック1位で当選(のちに離党し無所属)していた衆議院議員を辞しての立候補です。

日本維新の会の藤田文武氏は、1980年生まれの38歳。寝屋川市の出身で、高校・大学を通じてラグビー部に所属し筑波大学ではスポーツマネージメントを学ぶなどスポーツの分野に通じています。前回の2017年10月の衆議院議員選挙で故北川氏に約7000票差で敗れたのに続いての立候補です。

故北川氏のおいで32歳の自民党の北川晋平氏も、実父の北川法夫氏が市長を務めてきた寝屋川市出身です。灘中・灘高を経て中央大学法学部を卒業、京都大学法科大学院を終了した後、イベント会社の運営を行うなど民間企業で活動してきました。

波乱含みの大阪12区補選の行方は…?

2015年の府議会議員選挙で、地元の公明党候補の支援に回るなど、公明党とのつながりが濃い樽床氏と公明党の推薦を受ける北川氏の間での公明党票の流れも注目されます。自民党は、7日の府議会議員選挙で公明党現職のいる大阪12区内の2つの選挙区(寝屋川市選挙区大東市・四条畷市選挙区)にともに候補を立てないなど、国会で連立政権を組む公明党との協力関係を改めて示しています。しかし、府議選で15議席しか獲得できず9議席減らした自民党に、公明党支援者がどれだけ協力に入れるかは不透明な部分を残しています。それだけに、樽床氏に流れる可能性のある票をどこまで公明党の組織力でまとめられるか、も焦点となります。

また、大阪維新の会の前代表・橋下徹氏が補選公示直前に、「(日本維新の会公認候補者を)全部立てていく。エース級のメンバーがもう準備できている」と関西の公明党議員のいる6つの小選挙区すべてに日本維新の会の候補を出すことを示唆するなど、「ダブルクロス選」大勝の勢いそのままに、日本維新の会が引き続き圧力をかけていることも、公明党票の流れに影響を及ぼす可能性がありそうです。

無所属で立っている宮本氏は「野党共闘」での戦いに臨んでいます。公示日に街宣車の上に、推薦の共産党、自由党のほか、立憲民主党、国民民主党、社民党の5野党の国会議員が並ぶなど枠組みは出来上がっています。しかし、7日の大阪での統一地方選挙の内容は、知事市長選だけでなく府議選市議選も含めて、野党には厳しい結果となっているだけに、投票日までにいかに盛り上げるかが急務となっています。

大阪12区は自民党の故北川氏が2012年の衆議院議員選挙から3連勝している選挙区で、故北川氏の血のつながりの濃い候補を立てているだけに自民党の固い地盤は健在とみられています。一方で、選挙戦中の10日に失言で五輪相だった桜田義孝氏が被災地に対する失言で職を辞任したことなどが、予想される安倍晋三首相の自民党候補への直接応援などに影響を及ぼすとみられているなど、連日、波乱含みとなっているのは確かなようです。

「野党共闘」を目指す宮本氏、長年の地盤の樽床氏、弔い選挙の自公・北川氏、ダブルクロス選の勢いのある維新・藤田氏、4陣営の争う大阪12区補選を制するのは果たしてどの陣営になるのでしょうか…?!

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