「ゼロ・ウェイスト」で循環型経済をリードする

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ゼロ・ウェイストアカデミーの坂野晶理事長。この日は鯉のぼりの生地をアップサイクルした服を着て登壇した

環境省主催の「グッドライフアワード」で昨年最優秀賞を受賞した「ゼロ・ウェイストアカデミー」の坂野晶理事長は「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」に登壇し、徳島県上勝町で進めるごみのない社会に向けた活動について紹介した。坂野理事長は、「経済界がビジネスの根本モデルを循環型に変えていくことが必須」と提言。さらに「消費者を巻き込んで一緒に意識形成していくことが重要」と指摘した。(オルタナ編集部=堀理雄)

徳島県勝浦郡上勝町は2003年、日本の自治体で初めてごみゼロを目指す「ゼロ・ウェイスト宣言」を採択した。現在リサイクル率は81%。全国平均の約20%を大きく上回る数字だ。

住民はゴミを自ら「ゴミステーション」に運び、45種類に分別する。生ゴミは土にかえして堆肥化するのでステーションには持ち込まれない。そのため嫌なにおいもなく、人や情報が集まる地域コミュニティの拠点にもなっているという。

リユースにも力を入れる。着物の生地など再利用できる資源は、「くるくるショップ」に持ち込み、必要な住民同士で交換して使用している。

「ごみは、一人ひとりが『ごみ』だと思った瞬間にごみになる。仕組みや考え方次第で、ごみでなくなっていく可能性がある」と坂野理事長は言う。

リサイクル率が上がったことで町のごみ焼却費用は6分の1に削減された。取り組みを見に、全国から年間2000人以上が町を訪問することで、経済効果にもつながっているという。

しかし、81%のリサイクル率を100%にするためには、住民の努力だけでは難しいと坂野理事長は指摘する。「設計やデザインの段階から、リサイクルを前提とした製品をつくること、企業がインフラを変えていくことが必要」とした上で、次のように述べた。

「経済界がビジネスの根本モデルをサーキュラーエコノミーに変えていくことが必須。それは経済成長戦略であり、欧州などでは国の政策の方針にもなっている」

一方ゼロ・ウェイストアカデミーでは、飲食店やレストランなどで、適切な分別やリサイクルなどゼロ・ウェイスト活動に取り組む事業所に「ゼロ・ウェイスト認証」を行っている。

この取り組みについて坂野理事長は「お店が変わることは、大きな消費者の声をつくっていくことにつながる」と述べる。

「お店が仕入れの段階で、『こういう商品が欲しい』と生産者にリクエストをすること、さらに顧客に商品について伝えていくことを通じて、価値観やフィロソフィーを多くの人に伝えていくハブ(拠点)になっていく」

こうした活動が評価され、2019年1月、坂野理事長はスイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム(ダボス会議)に共同議長として参加した。同フォーラムでは、サーキュラーエコノミーへの転換を進めるためのプラットフォームづくりに力を入れているという。

「10年後や50年後、100年後を考えれば、今から循環経済に転換しなければ、ビジネスとして継続するわけがない。循環型へのシフトにおいて、地域コミュニティや消費者との連携が、非常に大事になってくる」と坂野理事長は力を込めた。