東彼杵町・小値賀町 2町長選直前情勢 16日告示

 統一地方選後半戦となる東彼東彼杵町長選と北松小値賀町長選(いずれも16日告示、21日投開票)の告示が迫る。両町長選とも選挙戦となる見通しだ。人口減少や少子高齢化など課題が山積する中、町の将来像をどう示すのか。各陣営が臨戦態勢を整える。

 ■東彼杵町/16年ぶりに選挙戦

 東彼杵町長選は、3選を目指す現職の渡邉悟氏(70)と、新人で町議の岡田伊一郎氏(65)=いずれも無所属=による一騎打ちの公算が大きく、16年ぶりの選挙戦となる見通し。人口減少対策や地場産業振興などを争点に論戦が交わされそうだ。

 渡邉氏は町役場退職後、2011年に無投票で初当選し、15年に無投票再選。対抗馬が出れば、自身、初の選挙戦になる。公立小中学校統合やそのぎ茶の知名度向上などの実績を武器に「若い世代が魅力を感じるまちづくり」を訴える。

 2月の事務所開きには地元政財界関係者ら約150人が出席。強固な支持基盤を見せつけたが、陣営幹部は「まだ一度も投票用紙に名前を書いてもらっていない」と浸透に余念がない。

 岡田氏は町役場退職後、2007年に町議初当選し、現在3期目。1月に渡邉氏が表明して間もなく、無投票阻止も念頭に名乗り出た。行政と議会双方の経験を基に人口減対策、福祉の充実、企業誘致などの独自施策を掲げ、現町政の刷新をアピールする方針だ。

 事務所開きなどの目立った動きはないものの、元町職員らの支援を受けて着々と準備。「選挙期間中に堂々と政策で勝負する」と士気を高める。

 ■小値賀町/人口減対策争点か

 小値賀町長選は、3期目に挑む現職の西浩三氏(73)と、新人で元町職員の西村久之氏(61)、新人で元国際協力機構(JICA)職員の小金丸梅夫氏(70)=いずれも無所属=の3人がこれまでに立候補を表明している。交流人口拡大や人口減少対策などを巡り、どう有権者に訴えていくかが注目される。

 西氏は前回、無所属新人候補を退け、再選した。3月、「現在進めている事業を完結させなければならない」と立候補を表明。小値賀と上五島、長崎の航路で周遊ルートを確立し交流人口拡大などを進めたい考えだ。今月は町内3地区で町政報告会を開き、国や県とのパイプも強調。町議や漁協幹部らが駆けつけ、陣営関係者は「実績がある。(表明が)遅くなったことは心配していない」と自信を見せる。

 西村氏は昨年3月に役場を定年退職し「お世話になった住民に恩返ししたい」と同11月、出馬を表明した。人口減少対策として、町立診療所の常勤医確保などを挙げる。今月3日の決起集会には約160人が集まった。支持者の60代男性は「少しでも若い人の方が政策を将来に継続できる」と期待を寄せる。

 JICA職員の経歴がある小金丸氏は「高齢化が進む中、若者が戻ってくる島にしたい」と国際化の推進を目指す。町職員を中心に住民がネーティブの講師から英語など語学教育を受ける機会を設け、島を訪れる外国人客への対応力を向上させたい考え。集会などの活動はしておらず、“草の根”活動で支持を求めていくという。

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