統一地方選あす告示、室蘭市長選は一騎打ちに

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 統一地方選は後半戦の市長、市議会議員選挙があす14日告示され、投開票日の21日に向け、7日間の選挙戦に突入する。胆振管内は室蘭、伊達の両市で市長選が行われる。室蘭は現職の青山剛氏(41)と、新人で元道議の川畑悟氏(47)による一騎打ちの見通し。伊達は現職の菊谷秀吉氏(68)が6選を狙うが、無投票当選の可能性が高い。市議選は室蘭、登別、伊達、苫小牧とも選挙戦が確実となっている。

 経済界や労働界など広い支持基盤を持つ青山氏は、推薦企業や労働組合回りを徹底し、組織固めを図ってきた。現職の強みを生かし露出を強めながら、地域や商店街を歩き、無党派層にもアピールした。11日夜には約500人を集めた決起集会を開き、勢いづけた。

 陣営も本番への準備を着々と進める。告示が近づくにつれて上滑りを警戒、危機感を強調する戦略も取り入れてきた。本人は12日公務だったが、多忙の合間にインタビュー取材もこなし、本番に備えた。きょう13日は中嶋神社で安全祈願を行う。

 道議選から急きょ市長選に切り替えた川畑氏は、道議時代から応援を受ける支持者や親族のサポートを受けながら前哨戦を展開。出遅れ不安を抱える中、3月末には過去に青山氏と市長選を戦った佐藤博氏(68)らの支援を取り付け、支持拡大を目指す。

 陣営は、あえて青山氏の支持基盤となっている企業へのあいさつ回りも組み込んだ。12日朝も本人が企業前で手を振った後、市内大手に足を運んだ。

 複数の福祉施設では「本番では迷惑をかけます」と声掛けして回った。13日朝には室蘭八幡宮で安全祈願を行う。(順不同、統一地方選取材班)

青山氏先行、川畑氏追う

 室蘭民報社は14日告示、21日投開票される室蘭市長選について、有権者アンケート調査と、道知事選に合わせた世論調査を実施し、告示前の前哨戦情勢を探った。現職の青山剛氏(41)がリードし、元道議の川畑悟氏(47)が追う展開となっている。

 ただ、4割近くが態度を決めておらず、情勢が変わる可能性がある。

 室蘭市長選は、「青山市政2期8年の評価」を最大の争点に、経済界や労働界など幅広い支持基盤を持つ青山氏に、組織を持たない川畑氏が挑む構図で、ほかに立候補の動きがなく、一騎打ちになるとみられている。

 現段階で考えている投票先を分析すると、青山氏は支持政党がない無党派層で強さをみせているのが特徴的。ほか自民党支持層、公明党支持層の票を優位に固めているもようだ。

 川畑氏は、立憲民主党支持層の票をやや優位にまとめているほか、共産党支持層の票を手堅くまとめている。

 有権者アンケートは2~8日に実施し、86件の回答を得た。世論調査は、道知事選の期日前投票出口調査に合わせて2~5日に実施、109件の回答を集めた。情勢分析は両調査を合算した195件に基づいて行った。(統一地方選取材班)

伊達市長選、菊谷氏無投票か

 立候補を表明しているのは、現職の菊谷秀吉氏(68)だけで、ほかに動きはない。5回連続の無投票の可能性が濃厚となっている。菊谷氏は道内の現職市長では任期最多の現在5期目で、6期目を目指すのは1999年(平成11年)の中田鉄治・夕張市長以来20年ぶりとなる。

 83年(昭和58年)から市議、副議長、議長を経験し24年ぶりに新人同士の一騎打ちとなった99年の市長選で初当選した。

 伊達商工会議所の会員による日本商工連盟伊達地区連盟をはじめ、伊達市農協、いぶり噴火湾漁協、伊達市建設協会や連合伊達、公明党室蘭総支部などの推薦を取り付け、「オール伊達」というべき幅広い支援態勢で臨む。

 昨年10月に「人口減少社会の中、地域をどう守るかが課題。若い人を呼び込むため、農業を中心とした産業振興を図る。『補助』から『投資』へ発想を転換し、価値あるものに投資を集中させる。全力を尽くす」と6選への決意を述べた。

 告示日は鹿島町の選挙事務所前で出陣式を開いた後、選挙カーに乗り込み、大滝区を含めた市内全域を遊説して回る。

●最後まで気緩めない

 伊達市長選は、道内市長としては最多の6選を目指す現職の菊谷秀吉氏(68)以外に立候補の動きはなく、無投票当選の公算が大きい。無投票になると、市長選では5回連続となる。

 陣営は、無投票による緩みを警戒しながら準備を整えてきた。陣営幹部は「最後まで気を緩めることはしない」と緊張感を漂わせる。

 告示日の14日は午前9時半、鹿島町の南大通り沿いにある選挙事務所で出陣式を開き、第一声を放つ。遊説は午前に西浜、長和地区を経て大滝区へ。有珠地区を巡り、事務所に戻る。午後は稀府や黄金地区を巡り、中心部に戻る予定になっている。

 一方で市議選は、伊達と大滝に分かれていた選挙区が今回から一つになり、立候補を表明した現職16人、新人5人が18議席を争う。投開票日は21日。(統一地方選取材班)

胆振4市議選 少数激戦へ

○…室蘭

 室蘭市議選(定数21)は、現職19人、新人4人の計23人が立候補する見通し。前回選挙時から定数が1減となる影響などで、少数激戦となりそう。

 党派別では、立民1人、国民3人、公明3人、共産2人、社民1人、無所属13人。各陣営とも、初日は後援会事務所などで第一声を放つ予定。市内各地域で街頭演説や地域懇談会を行って支持拡大も図る。

 道議選室蘭市区が24年ぶりに無投票だったため、各陣営とも、選挙ムードの盛り上げに腐心。ただ、市長選が現職と新人の一騎打ちとなる様相だけに、「マチ場も選挙の雰囲気に包まれるはず」(再選を目指す現職)。各立候補予定者とも、市民生活に直結した公約を有権者に訴える考えだ。

○…登別

 登別市議選(定数19)は、現職16人と新人5人の計21人が立候補予定。前回同様21人での選挙戦となる公算が大きい。少数激戦となる見通しだ。

 党派別では、国民2人、公明3人、共産2人、無所属14人。各陣営とも初日は後援会事務所などで、第一声を放つ見込み。市内を回って遊説を行い、有権者に政策の支持を訴える。

 少子高齢化や厳しい経済状況など、市内の情勢を踏まえた今後のまちづくりの在り方が争点になりそう。各候補が掲げた公約は、防災や福祉、観光など多岐にわたる。

○…伊達

 伊達市議選は、伊達選挙区(定数17)と大滝選挙区(定数1)に分かれていた選挙区が全市で一本化される。定数は18。立候補を表明したのは現職16人、新人5人。現職のうち吉村俊幸、原見正信の両氏が勇退する。議員のなり手不足が全国で深刻化する中、市の総合計画策定に意見を出した若手市民による「みらい会議」に参加した2人をはじめ新人の掘り起こしが進み、少数激戦の争いとなる。

 各陣営とも告示日は後援会事務所を拠点に市内各地で第一声。遊説はマラソン大会を避けて最初に大滝区に入る候補者が多い。

○…苫小牧

 苫小牧市議選(定数28)は現職24人と新人7人の合わせて31人が立候補を表明している。前回同様に少数激戦の厳しい戦いとなることは確実な情勢だ。

 各陣営とも初日は後援会事務所を拠点に、市内各地で第一声を放つ。街頭演説や地域懇談会、企業や町内会などを回って、支持拡大を図る。

 市が目指しているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非が最大の争点となりそうだ。知事選、道議選でも争点となっており、市民の判断が注目される。

室蘭市議選、地域医療や災害対策を16人が公約に掲げる

 室蘭市議選は14日に告示される。立候補予定者23人は公約を紹介したリーフレットを作製するなど、選挙戦の準備は万端だ。福祉、医療、防災、経済、コンパクトシティーなど、山積する課題に取り組む施策を掲げている。

 国立社会保障・人口問題研究所の2018年推計によると、室蘭の人口約8万3千人は、45年に5万人を割る見込み。人口減が進む中、立候補予定者が強調するのは住みよいまちづくり。「安全・安心」「地域経済活性化」「魅力あるまち」など大項目から個別施策を掲げ、将来を見据える。

 リーフレット内に「医療」を明記するのは16人。将来の医療体制が課題となる中、「市民のための病院づくり」「医師確保による地域医療」などに意欲を燃やす。

 自然災害が全国各地で相次ぐ昨今、防災力の向上は喫緊の課題となり、16人が「災害対策」に触れた。町会や自主防災組織など地域コミュニティーの強化、防災マップの見直し、防災拠点港としての室蘭港の活用、災害時の電力供給や医療の体制強化。立候補予定者の視点から防災・減災へ取り組む姿勢を見せている。

 今回のトレンドとなるのは「コンパクトなまちづくり」だ。室蘭市は現在、今後のまちづくり方針を示す都市計画の策定を進めており、3人が「まちなか住居の推進」「公共交通網が充実したコンパクトなまちづくり」などを公約の一つとしている。

 地域特性を生かした産業振興策はおのおのが記載。中小企業の育成、空き店舗対策、低炭素社会の構築、非正規雇用の待遇改善などを挙げる。観光分野では、工場夜景や自然を生かした施策、東胆振統合型リゾート(IR)経済波及効果。昨年就航した宮蘭フェリーでは、複数が存続に向けた取り組みを主張している。

 立候補予定者20人が子育て支援や高齢者施策など「福祉」をうたっている。少子高齢化社会の中、地域包括ケアシステムや介護サービス、子育て環境の充実、障害者支援などを目指す。(林帆南)

苫小牧市議選、最大の争点はIR誘致

 苫小牧市議選(定数28)は、31人が少数激戦を展開する見通しだ。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致が最大の争点に浮上しているが賛否が分かれており、選挙結果が今後の議論にも大きな影響を及ぼしそうだ。

 IRはホテルや国際会議場、物販などを併設させた大型施設で、カジノの収益を中心に運営させる。雇用や訪日外国人客の増加など経済効果を期待する声も大きい。ただ、ギャンブル依存症などの課題も指摘されており、市議会でも議論が続けられている。

 IRを誘致するには、国が定めた「特定複合観光施設整備法案」に基づき、北海道と事業者が整備計画の作成・認定申請を行い、国が認定する。認定申請に当たっては、施設が設置される市の同意が必要。このため、市議会の意向も大きな判断材料となる。

 現在、岩倉市政を支えている与党議員は14人だが今回、立候補を予定しているのは16人。与野党を問わず一部には考えを示していない議員もいることから、選挙の結果によっては勢力図が変わる可能性もある。このため、改選後には大きな議論のうねりが全市に広がることが予想される。(統一地方選取材班)

【写真=(上から順に)青山剛氏(左)と川畑悟氏(右)、菊谷秀吉氏、14日の市長選告示に向け遊説コースなどを確認する菊谷氏(左)や後援会幹部、室蘭市議選に立候補を予定している23人のリーフレットや資料】