名古屋市民の筆者が語る、名古屋が世界一素晴らしい街だとしか思えない理由

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【名古屋】人が優しい。世界的に知られたあの街に似ている!?

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名古屋市民の筆者にとっては、名古屋が世界一素晴らしい街だとしか思えません。

個人的に一番いいな、と思うのは、都市の規模のわりに、人が優しいところです。

ちなみに名古屋の人口です。

「平成31年3月1日現在の推計人口は、総数2,320,488人」

とのこと。

人口は約232万人の都市。それなのに、のんびりしていますよ。

去年の冬、金曜日の夜に、友達と一緒に、名古屋の繁華街へ食事に行きました。

そうしたら、飲み屋の客引きのお兄さんに声をかけられたんです。

友達が、

「卵かけごはんが食べたいんですが、メニューにありますか」

と、ダイレクトに訊きました。

するとお兄さんは、飲み屋の客引きにもかかわらず、

「うちにはないですねえ・・・同じビルの3階の店にならありますよ」

と、教えてくれたのです。

数年前、こんなこともありました。

しその葉ではなく、「しその実」を探していたとき、某有名百貨店の店員さんはそういう食材があることを知りませんでした。

まだ若い女性の店員さんでした。「しその実」について説明すると、探しに行ったあと、

「どうもありがとうございました。勉強になりました」

と、すてきな笑顔で言ってくれたのです。

実はそのとき、別の街に移住する話があったのですが、こんなささいなことについても、

「名古屋ってやっぱりいい!こんないい街を離れるなんてできない」

と涙が出そうになってしまい、あきらめたのです。

ちなみに筆者は約7年間、東京に住んでいたことがあります。

切符を買うのにもたもたしていると、知らない中年の男性に、

「ねえ、早くしてくんない?」

と言われました。それだけで、最初はちょっと傷ついていました。

雑踏の中で、たまに人がよくわからない理由で怒っているのは、いつまでも慣れませんでした。

カナダのトロントは、世界でもっとも住みやすい街の1つなのだそうです。

トロントに行ったとき、大都市なのに人がおっとりして親切なのに驚きました。

友達2人と一緒だったのですけれど、買いもののしすぎで筆者のスーツケースが重くなってしまって、移動のときに困っていたのです。

公共の場所の、階段の前で、

「どうしよう、スーツケース、重くて上がらないよ」

と言っていたら、

「僕がやりましょう」

と、現地の知らない男の人がやってきて、サラッと持って上げてくれたので、ものすごくびっくりしました。

持って逃げるどころか、お礼もろくに聞かずに立ち去ったのです。

しかも、同じことが2回ありました。こんなこと初めてです。

「都会なのにこののんびり感、名古屋に似ている!」

と思いました。

トロントについては、「保守的で退屈」という声もあるのだそうです。

もしそうなら、「大いなる田舎」との揶揄(やゆ)がなくならない名古屋と、どこか共通点があるかもしれません。

もっとも、国際性という点では、名古屋は今のところ、国内の他の都市よりも非常に秀でているとはいえないでしょうから、私見としてきいていただければ幸いです。

ただ、この旅行では、トロントのあとにニューヨークに行きました。

飛行機だとあっという間に着いたのに、ニューヨークの雰囲気はいい意味でもそうでない意味でも、トロントと全然違いました。

ニューヨークは刺激的で、さすが超一流の大都会でした。

どちらも楽しかったのですけれど、道をたずねたさいの警察官の不愛想さといい、大都会の喧騒が苦手な筆者にとっては、びびったことがいくつかありました。

【名古屋】「お値打ち」が美徳である

「お値打ち」という言葉を知っていますか。

いくつか辞典を引きましたが、どれにも載っていました。そして、「値打ち」の丁寧語であるだとか、「お買い得」という意味である、ということが書いてありました。

辞典にも載っている言葉ですから、知ってはいるでしょうけれど、みなさんは、この言葉をどれくらいの頻度で使いますか。

ちなみにこの「お値打ち」、名古屋や、その周辺では空気のようにスムーズに循環している言葉です。

「美濃、尾張の周辺地域を中心に用いられる表現」なのだそうです。

例えば、名古屋の「モーニング」は有名ですね。

喫茶店で、朝、コーヒーなどの飲みものを頼むと、トーストやゆで卵がタダでついてくる。もしくは「タダ」のような値段で一緒に食べられるというやつです。

1日中「モーニング」をやっている、「モーニング」に茶碗蒸しを出す、というお店もあります。

いずれにせよ、名古屋人のサービス精神、そして、名古屋の消費者のニーズに応えたサービスのあり方を象徴しているといえましょう。

なぜ、コーヒーにタダでトーストや卵をつけてもお店が損をしない、もしくは繁盛するのでしょうか?

名古屋では、喫茶店に限らず、消費者がそういう「お値打ち」さを好み、「お値打ち」な店をひいきにする、また、いざというときに大きなお金をドーンと使う、という傾向があるからだと思います。

「まけてくれへん?」という交渉とは、きっと少し違います。

名古屋では、商品を売る、サービスを提供する側が、消費者に選ばれるために、初めから「お値打ち」にする、気前よくおまけをつける、ということが多くみられるようです。

高級な呉服売り場、または、一流ホテルでも、そういうことが起こっているのを目撃したことがあります。

セレブな感じの人々が、真顔で、当然のようにその種のサービスをうけています。

筆者もだんだん、それが普通だと思うようになってきました。けれど、他の都市ではどうなのでしょうか。

たまに上京すると、東京は、物価はさることながら、人のお金の使い方、お金に対する考え方が違うような気がします。

「東京では、余分なお金を払うことが、ステータスの証明につながるのだろうか?でも、あらゆるものは有限。私有財産も例外ではない。1億円あっても、1万円の価値にはかわりがないはず。・・・この人たちはなぜ、軽率なお金の使い方をするの?」

と、真剣に考えたことさえあります。

この問いに、今のところ答えはありません。

筆者には、

「えっ、お金に関することは、堅実なのが一番でしょ?」

という考え方しかないからです。

ちなみに、名古屋では、喫茶店でコーヒーを頼むと、おまけがついてくることが多いです。

小さな袋に入ったピーナツだとかのおまけです。

昨日、シティホテルでコーヒーを頼んだら、小さくてもバターたっぷりのクッキーがおまけについてきました。

今日は、誘われて、洒落たレストランのスイーツ会に参加しました。

そこでも、マダムな女性たちが、

「これだけのスイーツをいただいて、この値段はお値打ちよね」

「ねえ。お値打ちだわ」

と満足そうに言っているのを聞きました。

「お値打ち」という言葉は、名古屋と、その周辺の人々の概念を象徴するものの1つであり、少なくとも、その文化と切り離せない言葉だといえましょう。

【名古屋】実は表日本のほぼ中心にある

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これはいわれてみれば「ああっ」というネタでしょうか。

名古屋は、実は表日本のほぼ中心にあります。

東京まで新幹線を使えば、約1時間40分、京都へも35分くらいで行くことが可能です。

これはあたりまえのことだと思っていたのですが、20代のときにお会いした、同年代の、北海道から来たお嬢さんが、

「今日、生まれて初めて、生の京都弁を聞いたんですよ!感激しました」

と、すごく嬉しそうに話すのを聞いて、盲点を突かれた思いでした。

「北海道は本当にいいところだけど、外に出るのには、他とくらべて時間がかかるのかな」

今まで、国内のいろいろなところに旅行できたのは、名古屋の地理的な利点も影響していたのかもしれません。

もっとも、今は国内でも格安航空券などもありますし、海外に行くときの便利さでは、名古屋は非常に恵まれているとはいえません。

けれど筆者にとっては、名古屋は便利で、都市の規模のわりに人が親切、物価も安い、地理的な利点もある、いいホームタウンなのです。

確かに、情報量では東京、大阪などの大都市とは違いがあるかもしれませんが、それをおぎなってあまりあるものがあると思います。例えば、ゆとりだとかです。

最近、観光の充実にも力を入れている名古屋。犬山とのくみあわせもおすすめ。

みなさん、名古屋にいらっしゃいませんか?とってもいいところだと思いますよ。

参考

[名古屋市公式ウェブサイト]

[世界的な大都市が「住みやすさ」でトップになれない理由|フォーブス ジャパン]

[Weblio辞書 実用日本語表現辞典 「お値打ち」]

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