きょう告示

 本県に数十年ぶりにUターンした人は、かつての郡部を訪れて「えっ、ここも市になったの?」と驚くことがあるようだ。平成の大合併で、長崎市と佐世保市という本県の2大都市は、周辺町を編入して市域を広げた▲旧町民にとって身近だった町役場は市の出先機関に変わった。多くの地域で職員の数が減り、地元の店は活気を失い、地域を歩く人影も少なくなった。「過疎のまちが一層寂れた」と嘆く人は少なくない▲統一地方選の第2ラウンドとなる長崎、佐世保の両市長選と長崎、佐世保、大村の3市議選はきょう告示される。いずれも選挙戦となりそうだ▲合併後、議員定数は削減され、旧町の中には議員に立候補する人がいなくなった地域もある。日頃「市政に声が届きにくい」と不満を感じている旧町民も多いだろう▲市長選では人口減少対策をはじめさまざまな地域課題が問われる。長崎ではMICE(コンベンション)施設や新市庁舎整備などが大きな争点となりそう。佐世保では統合型リゾート施設(IR)誘致などで論戦が期待される。そんな中で候補者には旧町地域にも目配りした地域振興策を語ってもらいたい▲市長選と市議選の7日間、候補者は各地で有権者に対して支持を訴える。市域全体に目を向けた熱のこもる政策論議を聞きたい。(泉)

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