スーパーバイク世界選手権(SBK)第4戦オランダがTT・サーキット・アッセンにて行われ、Aruba.it レーシング-ドゥカティのアルバロ・バウティスタが開幕から11連勝を達成した。
この第4戦は、悪天候により土曜日のレース1が2度のスタートディレイの末に日曜日に延期。さらにスーパーポール・レースが中止になったことにより、2レースのみの開催となった。
また今回のレースより、ホンダとドゥカティのエンジン回転数の上限(レブリミット)が変更された。ドゥカティ・パニガーレV4 Rは16,350回転から250回転下がった16,100回転、ホンダCBR1000RR SP2は14,550回転から500回転上がり15,050回転となっている。
スーパーポールでは、ここまでの3戦で9連勝を挙げているバウティスタが1分34秒740をマークしてポールポジションを獲得し、第2戦タイから3戦連続となるポールポジションを獲得した。
2番手につけたのは、母国レースを迎えたパタ・ヤマハ・ワールドSBKチームのマイケル・ファン・デル・マークで、タイムは1分34秒822だった。3番手は、ファン・デル・マークからわずか0.006秒差の1分34秒828を記録したマーカス・ライターベルガー(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)。2018年王者のジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)は1分35秒530で8番手だった。
なお清成龍一(モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム)は、スーパーポールでのクラッシュにより当初はレース1を欠場することになっていたが、無事に日曜日に開催された2レースへ出場した。
■レース1:バウティスタが連勝記録を10に伸ばす。清成は15位入賞
レース1は気温6度、路面温度8度というドライコンディションでスタート。ポールポジションのバウティスタがホールショットを奪い、その後ろでライターベルガーが2番手に浮上。ファン・デル・マーク、レオン・ハスラム(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、レイというトップ5でオープニングラップを終えた。
2周目に入るとライターベルガー、ファン・デル・マーク、レイによる2番手争いが繰り広げられる。ポジションを守ったライターベルガーはトップを走るバウティスタを1秒以内の差で追うが、その背後にはぴたりとレイがついていた。
レイは8周目にライターベルガーを捉えて2番手に浮上するが、翌周にはライターベルガーがポジションを取り戻した。さらにライターベルガーにはファン・デル・マークが追いつき、その後ろでは5番手を走るアレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)にハスラムが迫っていた。
レースの折り返しを迎える頃には、バウティスタが後続に1秒以上の差をつけていた。残り周回数が10周をを切ると上位集団がばらけはじめ、2番手にレイ、3番手にファン・デル・マーク、以下ロウズ、ハスラム、ライターベルガーという並びでレース終盤を迎えた。
結局トップを走るバウティスタはスタートから一度もポジションを譲ることなく、2番手以降を3秒以上も突き放して開幕から10連勝を達成。連勝記録ではコーリン・エドワーズとニール・ホジソン(それぞれ9連勝)を抜いて、単独2位に浮上した。
2位は8番手スタートのレイ、3位にファン・デル・マークという表彰台の顔ぶれに。ロウズが4位争いを制し、ハスラムは5位でフィニッシュ。一時はバウティスタに迫るかのペースを見せたライターベルガーは6位だった。また15番手からスタートした清成は、スタート直後に最後尾までポジションを落とすも、その後はポジションを取り戻し15位に入賞した。
■SBK第4戦オランダ レース1順位結果(21周)
Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap
1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 33’30.479
2 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 3.130
3 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 4.934
4 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 10.679
5 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 10.859
6 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 15.105
7 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 17.001
8 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) 20.227
9 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) 20.276
10 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 21.748
11 2 L.キャミア モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 32.686
12 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 38.777
13 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 43.075
14 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) 46.018
15 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 46.293168
16 80 H.バルベラ Orelac Racing VerdNatura(Kawasaki ZX-10RR) 2 Laps
RET 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) 5 Laps(リタイア)
RET 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) 11 Laps(リタイア)
■レース2:レイ、バウティスタを止められず。連勝記録は歴代1位タイに
通常であればレース2の前に行われるスーパーポール・レースが中止となったため、このレース2のスターティンググリッドも、土曜日のスーパーポールの結果が適用された。
レース2は気温9度、路面温度15度のドライコンディションで行われた。ポールポジションからスタートしたバウティスタがこのレース2でもホールショットを奪った。ところが8番手スタートのレイが一気に2番手までポジションを上げると、そのままトップに浮上した。
レイはバウティスタよりもわずかに速いペースで周回を重ねたが、6周目にはバウティスタがトップの座を取り戻し、ファステストラップを記録した。さらに3番手までポジションを上げていたデイビスもレイをパスして2番手に浮上するが、翌周にはレイが2番手に。この隙にロウズやファン・デル・マークもデイビスに迫り、ハスラムも含めた4名による3番手争いが繰り広げられた。
トップに浮上したバウティスタは2番手のレイを1秒以上引き離してレース後半を迎える。その後ろではロウズとファン・デル・マークがデイビスとハスラムを引き離し、チームメイト同士で3番手を争っていた。
残り4周のところで、3番手に浮上したファン・デル・マークが2番手のレイに追いついた。ファン・デル・マークはレイよりも速いペースで周回し、残り2周のところでレイをパスして2番手に。両者のギャップは0.2秒のままファイナルラップに突入した。
一方トップのバウティスタは後続とのギャップを開いて独走し、最終的には4.688秒の差をつけて開幕から11連勝を達成した。これにより、2018年にレイが打ち立てた歴代1位の連勝記録に並んだ。
最後まで続いたファン・デル・マークとレイの2番手争いでは、レイがファン・デル・マークに仕掛けた際に両者が接触するシーンも見られた。最後はファン・デル・マークとレイが並んでホームストレートへ戻ってきたが、わずかにファン・デル・マークの方が前でフィニッシュし2位に。0.018秒差でレイが3位となった。
ロウズが4位に入賞し、一時は表彰台圏内を走行したデイビスが5位。その後ろではBMW勢が並ぶような形でフィニッシュ。6位にライターベルガー、0.014秒差の7位にサイクスが入賞した。なお清成は5周目にリタイアとなった。
同日行われたスーパースポーツ世界選手権(WSS)第2戦では、フェデリコ・カリカスロ(BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team Y)が今シーズン初優勝を飾った。2番手スタートのカリカスロはオープニングラップで8番手までポジションを落としたが、他のライダーのミスもあって2番手までポジションを取り返した。最終ラップに入るとチームメイトのランディ・クルメンナッハをパスしてトップに浮上し、背後に迫るクルメンナッハを抑えて優勝を飾った。
3位はトーマス・グラディンガー(Kallio Racing)で、5番手スタートの大久保光(Kawasaki Puccetti Racing)は7位でレースを終えた。
またスーパースポーツ世界選手権300(WSS300)では2戦目を迎えた。日本人ライダーの岡谷雄太(DS Junior Team)はスーパーポールで上位を狙える状況だったものの、バイクのトラブルによりタイムを計測することができなかった。さらには悪天候によりLast Chance Raceも中止となったため、決勝レース進出は適わなかった。
■SBK第3戦アラゴン レース2 順位結果(21周)
Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap
1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 33’28.682
2 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 4.688
3 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 4.706
4 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 10.073
5 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 13.667
6 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 15.373
7 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 15.387
8 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 20.915
9 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) 22.922
10 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) 23.518
11 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 28.286
12 2 L.キャミア モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 36.039
13 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) 36.539
14 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 36.895
15 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) 36.913
16 80 H.バルベラ Orelac Racing VerdNatura(Kawasaki ZX-10RR) 37.095
17 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) 1’10.200
RET 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 5 Laps(リタイア)