本塁打増加、打てる捕手も、昨季セ覇者がまさかの… プロ野球開幕5大ニュース

広島・緒方監督【写真:荒川祐史】

広島がまさかの最下位低迷、NPBにもフライボール革命?

 プロ野球は14日で各球団が5カードを消化。セ・リーグはヤクルト、パ・リーグはソフトバンクが開幕ダッシュを決めて、首位に立っている。全143試合と長丁場のペナントレース。各チームの2019年シーズンのチームカラーが見えつつある中、Full-Count編集部は独断で開幕5大ニュースを選出した。

1.セ界王者広島がまさかの低迷

 今春、野球ファンを最も驚かせたのはセ・リーグ3連覇中のカープの低迷だろう。14日のDeNA戦で今季5度目の逆転負けを喫し、開幕から全5カード連続の負け越し。借金7にふくらんだ。10日のヤクルト戦では延長10回に12失点。延長での1イニング12失点はプロ野球ワースト記録だ。チーム45得点、80失点はいずれも12球団ワースト。これは昨季まで2年連続MVPに輝いた丸佳浩が巨人へFA移籍、ベテラン新井貴浩が現役引退した影響なのか。今後の巻き返しに期待したい。
 

2.鷹甲斐野、DeNA上茶谷ら新人奮闘

 今季は10人が開幕1軍入り。ソフトバンクの甲斐野央は開幕戦で勝利。ここまで7試合登板し、1勝6ホールド、防御率0.00と圧巻の投球を見せている。上茶谷大河は先発ローテ入りし、0勝0敗も防御率2.77。巨人の高橋優貴はプロ初登板初勝利を挙げた。阪神の木浪聖也&近本光司は球団新人史上初となる「開幕戦1、2番コンビ」を結成。近本は打率.289、2本塁打、6打点をマークしている。また、楽天の辰己涼介は10試合出場し、打率.217。ロッテの藤原恭大は開幕スタメンを勝ち取り、プロ初安打をマークした。

3.NPB本塁打増 開幕5カード終了で昨季128本→今季176本

 開幕5カードが終了し、本塁打が増えている。今季から本拠地ZOZOマリンと狭くなったロッテは昨季5カード終了時7本から3倍増の21本、広島からFAで丸佳浩が加入した巨人は昨季11本から2倍増の22本と量産している。首位のヤクルトは約2倍増の18本。12球団で昨季よりチーム本塁打が減ったのは阪神、日本ハム、広島の3球団のみ。セ・リーグ全体では昨季65本から約1.5倍の95本。パ・リーグでは昨季63本から81本と増え、NPB全体では昨季128本から176本と大幅増した。

【チーム本塁打の昨季と今季の比較】※開幕5カード終了時点
▼セ・リーグ
ヤクルト 10本→18本
DeNA 12本→19本
巨人 11本→22本
中日 9本→15本
阪神 9本→8本
広島 14本→13本

▼パ・リーグ
ソフトバンク 14本→21本
楽天 8本→10本
日本ハム 13本→6本
西武 12本→14本
オリックス 9本→9本
ロッテ 7本→21本

日本ハム栗山監督は新戦術 西武森ら捕手が打力発揮

4.栗山ハムのショートスターター

 日本ハム・栗山英樹監督の先発投手に短いイニングを託す「ショートスターター戦術」が話題となった。メジャーではレイズ、アスレチックスなど資金力に欠けるチームが使う「オープナー」に似た戦術で、先発投手が揃っているとは言えないチームにはフィットする。同戦術を使った2、4日楽天戦、6日西武戦、11日ソフトバンク戦はいずれも敗戦。新戦術は手探りと言えそうだが、栗山監督は「こっちは批判覚悟。オレは常識を疑って新しいものが生まれるはずだと思って野球をやっている」と言い切る。従来の先発→中継ぎ→抑えとは違う投手起用は今後も大きな注目を集めることとなりそうだ。

5.打てる捕手増殖中 

 西武の森友哉はリーグトップの打率.383、16打点と打撃2冠。阪神の梅野隆太郎は9日のDeNA戦で史上69人目、通算74回目のサイクル安打を達成。ここまでリーグ3位の打率.370と奮闘している。ヤクルトの中村悠平は打率.277。規定打席に達していないものの、DeNA伊藤光は打率.310、中日の加藤匠馬は打率.276。侍ジャパンでは巨人の阿部慎之助以来、打てる捕手の台頭が期待されていただけに、今秋の世界野球プレミア12、20年東京五輪へ明るい材料となりそうだ。

 セ・リーグ個人成績では坂本勇人(打率.440)、吉川尚輝(打率.390)と巨人の1、2番コンビが打率リーグ1、2位。これは後を打つ新3番・丸佳浩(打率.358、同4位)と相乗効果を生んでいると言えそうだ。パ・リーグではロッテの中村奨吾、ソフトバンクの今宮健太がそれぞれ5本塁打を記録。これまで中村はシーズン最多9本塁打(17年)、今宮は最多14本塁打(17年)といずれも自己最多を悠々と上回りそうな勢いだ。また、DeNAは昨季シーズン全体で2完投だったもにもかかわらず、ここまでに2完投を記録している。

 全143試合と長丁場のペナントレース。これは春の珍事なのか、それとも……。どのようなドラマが生まれるのか注目だ。(Full-Count編集部)

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