Off time Vol.33 成功者の横顔 会社または商店など、トップで 活躍する人のオフタイムはどんな顔を 持っているのでしょう。オフタイムから 垣間見るトップの顔をご紹介します。

■今月の人■

株式会社サン機工 常務取締役 株式会社サン機工膳所 代表取締役

田中 真 さん
1958年生まれ、大津市出身。大学卒業後ノンバンク系金融機関に入社。不動産融資の仕事をしていたが、バブル崩壊の影響もあり退社し実家のある大津市に帰郷する。そこで出会った人の紹介で株式会社サン機工に入社し金融業界から製造業へ転身した。若い頃から音楽以外にもバイク、スキューバダイビングなど多彩な趣味に取り組み、現在は家族で年2回の旅行を楽しんでいる。 【滋賀県中小企業家同友会会員】
ものづくりの現場で、そしてバンドでも「縁の下の力持ち」。
音楽のワクワク感が活力となり、次に踏み出す力になっていく
数年前にドラムを再開した田中さん。800枚を越えるCD、LPを揃え、息子さんは14歳ながらザ・バンドやAC/DCなどを好んで聞いているという。ノンバンクに勤めていた頃ニューヨークに駐在したことも。そのとき劇場に通い、バレエが大好きになったという。

もともとノンバンクで不動産融資の仕事をしていたという田中さん。ところがバブル崩壊で業績が悪化。13年勤めた会社を辞め実家のある大津に戻ってきました。そこで声をかけられ、畑違いの今の会社に飛び込みました。

サン機工は京都市でネジの2次加工会社として1955年に創業。1970年代に湖南市に新工場を開設し土木用掘削工具の製造を始めました。鉄道や高速道路のトンネルの掘削工事に使われる「シールドマシン」の先端に取り付ける刃先「カッタービット」の製造で国内屈指の技術力を誇っています。

カッタービットと呼ばれる掘削機の刃先。異なる種類の金属を接合する「銀ロウ付け」で高い技術力を発揮している。
カッタービットを取付けたシールドマシンのモニュメント。

全く異業種の会社に入った当時のことを田中さんは「育ってきた企業文化が違ったので驚くことがたくさんありました」と振り返ります。「でも面白かった
ですね。経理、総務から人事まですべて任され、いろんな勉強ができました」。最近は「ものづくりの現場で働きたい」と4年連続で高卒の若者が入社。2年前には高卒女子の社員も加わり、若い活気があふれています。

シールドビット(左)テーパービット(中)ボタンビット(右)等、大小さまざまな加工品

そんな田中さんのもう一つの「顔」はドラマー。中学3年でベースを始め、高校に入ると友達とバンドを結成。ギター、ベースがすでにいたのでドラムを担当することになり、以来バンド仲間でライブハウスを中心に演奏活動をしてきました。「ドラムは位置づけとしては縁の下の力持ちですね」。ジャンルはハードロック。オリジナル曲も作るなど活動は本格的で、ヤマハのポプコン※は本選まで行ったとか。プロへの道を夢見たこともありましたが、「バンドはみんなが同じ思いでないと先には進めない」と断念。就職後はバンド活動からは遠ざかっていましたが同友会のメンバーに声をかけられたことをきっかけにTITIO(ティティオ)というバンドに参加、経営研究集会で演奏を披露しました。「皆さん、私がドラムを叩くなんて、とびっくりされていましたね。今後はピアノかギターをやりたいですね。メロディー楽器をやってこなかったので」。好きな音楽を聴くと落ち着くだけでなく、ワクワクして活力がわいてくるという田中さん。仕事では五輪とリニア新幹線という大きなチャンスを控えています。

次に踏み出す力、そこには、オフタイムでのドラマーとしてのもう一つの顔も大きな支えとなっているのではないでしょうか。


株式会社 サン機工
湖南市石部口3丁目6-11 TEL:0748-77-3187 FAX:0748-77-5191 http://sun-kiko.com/

取材:2017年3月

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