トランプ氏「空中消火使え!」に仏当局4回も反論 ノートルダム寺院大火災

By 太田清

大火災で崩れ落ちるノートルダム寺院の尖塔=15日、パリ(AP=共同)

 パリの観光名所で世界遺産のノートルダム寺院で起きた大火災の映像は世界中を駆け巡り、多くの人がツイッターなどSNSを通じ、フランスを襲った悲劇を共有したが、トランプ米大統領も早速ツイート。「パリのノートルダム寺院の大火災を見るのはとても恐ろしい。たぶん空中消火機は使えるかもしれない。素早く行動しなければならない!」と書き込んだ。 

 トランプ氏の発言はフランス・メディアなどが報じ、これに対し市民らからの問い合わせが殺到したのか、フランス内務省の非常事態担当部局が4回にわたり、ツイッターで通常は山火事の消火などに使われる空中消火は使えないと反論する事態となった。AFP通信などが伝えた。 

 最初のツイートは「消火のためにあらゆる手段が使われているが、空中消火機を使った消火はこのタイプの火災には技術的に適していません」とフランス語で主張。 

 さらに続けて、2回目と3回目のツイートでは大量の水の投下は「寺院全体の崩壊につながりかねない」ほか「周辺の建物にも被害を及ぼす可能性がある」と指摘。 

 最後は英語で「ノートルダム寺院の火災を鎮圧するために数百人の消防士ができることはすべてやっています。あらゆる手段が使われていますが、空中消火機を使うと寺院の建物全体の崩壊につながりかねないことから、行っていません」と訴えた。このツイートには6万3000件以上の「いいね」が付いている。

 フランス内務省によると、現場では約400人の消防士が懸命の消火作業を続けたほか、寺院内に保管されていた「いばらの冠」など貴重な聖遺物や美術・工芸品を危険を顧みず運び出し救出。アンヌ・イダルゴ・パリ市長がツイッターで謝意を述べた。いばらの冠はゴルゴタの丘で十字架にかけられたキリストが頭にかぶせられたものとされる。 (共同通信=太田清)

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