【聞かせて】 No.604「吉村 誠さん・山口大『万葉集』研究者」

 2019年5月1日の皇位継承にともなう新元号「令和」が4月1日に発表された。典拠は「万葉集」巻五所収「梅花の歌三十二首」の序文。「日本書紀あたりかと予想していたので驚いた。『令』は使役の助字のイメージが強く、平和になりなさいという意味もあるのかととっさに感じた」という。

 高校時代、アララギ派島木赤彦の万葉集に関する著書を読んで興味を持ち、春日山のふもとに住んでいたこともあって、「万葉集私注」(土屋文明)に夢中になった。理系クラスに在籍するも「好きだから」と文学部に進学した。万葉集の魅力について「古典文学全般に言えるが、我々が経験したことのある気持ちを見つけることができ、心に潤いをもたらしてくれる」と話す。

 好きな歌は、遣唐使の船が海にこぎ出そうとする時に、母親が子に贈った巻九の一七九〇番歌。

【プロフィル】1954年奈良県生まれの64歳。國學院大文学部で博士号まで取得。群馬県立女子大助手を経て1984年に山口大教育学部着任。国語科教育講座所属。専門は「万葉集」を中心とした上代文学。「大伴家持と奈良朝和歌」(おうふう)他著書多数。

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