【MLB】役割果たすも初黒星の菊池雄星 選んだテーマ曲で登場できなかった理由は…

インディアンス戦に先発したマリナーズ・菊池雄星【写真:Getty Images】

6回3失点もメジャー初の敗戦投手に、登場曲に「クラウド・チャント」選ぶも…

■インディアンス 6-4 マリナーズ(日本時間16日・シアトル)

 マリナーズの菊池雄星投手(27)が15日(日本時間16日)、本拠地シアトルでのインディアンス戦に先発。6回を投げ切り5安打3失点の内容で先発の仕事を果たしたが、味方打線の援護にも恵まれず、メジャー初の敗戦投手となった。

 シカゴ、カンザスシティーでの2カード7試合を戦い、6連勝で本拠地T-モバイル・パークに戻ったマリナーズだったが、勝利を牽引してきた圧倒的な豪打は鳴りを潜め、強敵アストロズとのカードで急降下し3連敗。嫌な流れを断ち切る大事な役目を担う菊池は、ブルペンで軽い調整を行った14日、「お客さんもたくさん味方にいますし、そういう声援を受けてそれを力に変えて明日は投げたいと思います」と、2度目の本拠地登板に向け意気込みを語っていた。

 4連敗阻止を先月に他界した父、雄治さんへ捧げるメジャー初勝利で飾りたいという気持ちは自ら選んだ登場曲にも表われていた。

 ジョー・サトリアーニの「クラウド・チャント」は、流麗なギターサウンドと観衆が呼応するノリのいい曲。「声援を力に変える」の思いを後押しするのにはうってつけのものだった。ところがまったく予期せぬ展開となる。

 登板直前に左中間フェンス後方にあるブルペンで投球練習を終えた菊池が、一塁側の自軍ベンチに下がる直前だった。期せずして、ノリのいい「クラウド・チャント」が突然、鳴り響いた。ネガティブな予感は的中する――。1回表のマウンドに向かう肝心なときには守備に散る他の8人を送り出す曲がT-モバイル・パークに響いていた。

T-モバイル・パークの音響を担当するクリスチャン・サンフォード氏【写真:木崎英夫】

音響担当は歯切れ悪く「他の曲も流したかった……」

 音響を担当するスタジアムDJのクリスチャン・サンフォード氏に問うと「他の曲も流したかった……」と、歯切れが悪い。

 実は、選曲自体にも“曲折”があった。

 当初、サンフォード氏はグラミー賞にもノミネートされたシアトル出身のエレクトロニック・デュオ「ODESZA(オデッザ)の曲から選んでほしい」と一任され、「ライン・オブ・サイト」を用意していた。ところが、この日の午後になってから一転。菊池サイドからジョー・サトリアーニの「クラウド・チャント」が指定されたという。

 6回表の攻撃を3者凡退で終えベンチに戻る菊池をねぎらうように、サンフォード氏は件の曲を球場に轟かせた。

 立ち上がりに難なく2死を奪うと、安打と四球で出した走者2人を連続タイムリーで還され2失点。菊池は「(チームが)連敗をしているので初回はなんとしても先制点を与えてはいけなかったと反省している」と肩を落とした。

 本拠地での菊池の次回登板は、アナハイム、サンディエゴの西海岸遠征から戻る4月25日から28日のレンジャーズ戦で見込まれる。その際は、サトリアーニのサウンドにもあやかり、立ち上がりからリズム良く小気味いい投球で地元ファンの大声援を誘いたいところだ。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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