担い手不足?

 かつては地方選挙といえば、地域の有力者や団体の役員などが話し合いをして、立候補者が決まっていくことが多かった▲だが人口減少時代を迎え、地方政治の世界でも「担い手不足」という言葉をしばしば聞くようになった。要因として「議員報酬が低くて生活できない」「仕事や家庭と議員活動を両立するのが難しい」などの声が上がる▲先日の県議選では16選挙区中、7選挙区が無投票。選挙戦となった所でも引退するベテラン議員が後継者を立てようとして立てられないケースもあった▲14日に始まった2市長選と3市議選に続き、2町長選と5町議選がきのう告示された。このうち西彼長与と北松小値賀の2町議選は無投票で当選が決まった▲長与町では午前中に定数を超える届け出があったが、締め切り直前に1人が辞退して無投票に。小値賀町では定員に届かない可能性があったが、締め切り直前に元職1人が届け出て、定員割れは免れた。無投票を巡り、ぎりぎりの時間に展開されたドラマに担い手不足の深刻さがうかがえた▲有権者に選択の機会が与えられない無投票という結果は残念なことだろう。ただ無投票当選をした人が、自分が地方政治を担うという気概で立候補したのは間違いないはずだ。担い手不足という声を吹き飛ばす働きを期待したい。(泉)

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