イギリス・ツーリングレースのBTCC、2022年ハイブリッド導入へ向けサプライヤー入札を開始へ

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権を運営する主催団体のTOCAは、2022年シーズンから本格導入を予定しているハイブリッドシステムについて、供給可能なサプライヤーに向け一般競争入札の案内を開始した。

 2018年のシーズン中盤に、BTCCはハイブリッド機能による“プッシュ・トゥ・パス”の導入に向けた調査を始めるとアナウンスしており、8月のスネッタートン戦ではTOCAのハンドリングによりテクニカル・ワーキング・グループによる議論がスタートしていた。

 予定されている導入プランでは、2022年シーズンに電動アシストパワートレインの完全導入が計画されており、その前段階として2020年、2021年シーズンにはテスト期間として一部のマシンにシステムを搭載し、開発作業やレースへの影響を調査する計画だ。

 現行のNGTC規定マシンには2リッターの4気筒直噴ターボが採用されているが、このエレクトリックアシストの機構はそのパワーユニットにアドオンされる形の共通システムが想定されている。

 TOCAが発表したステートメントによれば、「BTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、現時点よりBTCC向けに共通ハイブリッドシステムを供給することに関心のある企業から、幅広い意志を募っており、2022年での完全導入に向けプロジェクトを進めている」と記されている。

各マニュファクチャラー製エンジンだけでなく、TOCA共通エンジン搭載車にも適用可能な汎用性のあるシステムが求められている

「その実現に向け、2021年を前に主要なパラメーターや技術仕様を協議し、テストする期間を設けることも検討されています」

「過去9か月間、TOCAは関係する主要産業の専門家たちと密接に関わり、技術面、性能面、システム仕様、保守および商業上の要件を明確にするべく検討を進めてきました」

「供給契約を勝ち獲ったサプライヤーには、実証済みの耐久性を備えた、軽量で費用対効果の高い低電圧ハイブリッドシステムを製造することが要求されます」と結ばれている。

 TOCAは、ハイブリッド技術の導入を確約し本格的に運用する最初の主要ツーリングカー選手権になろうとしており、今後3カ月以内にそうしたシステム供給の実績あるサプライヤー、具体的にはX-tracやウイリアムズ・アドバンスト・エンジニアリング、そしてマクラーレン・アプライド・テクノロジーズなどとの契約締結を期待している。

 一方で、同じく世界的シリーズのDTMドイツ・ツーリングカー選手権を運営するITR e.Vの関係者は、昨季もクラス1へのハイブリッド導入の可能性を問われた際に「それが単なるマーケティングツール以上のものであることを証明できる場合に限り」選択肢に上げることを検討すると述べており、現時点で導入の予定はないことを示唆している。

大手だけでなく、英国内にはレース向けの簡便なシステムを供給できる企業が数多く存在するだけに、どのシステムが最適かが焦点になりそうだ

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