ノートルダム火災、聴取の改修業者は小さな家族経営

「歴史建造物保護がわれわれのDNA」

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太田清

47NEWS編集長

太田清

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共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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ノートルダム寺院の内部に積み上がったがれきの山=16日、パリ(AP=共同)

 フランス・パリ中心部の世界遺産ノートルダム寺院(大聖堂)で15日に起きた大火災。捜査当局が屋根の改修工事による「失火」が原因だった疑いがあるとみて作業員らから事情を聴くなど捜査を始めた。工事の溶接作業で火が出た可能性も指摘される。当時、改修工事に当たっていた業者にメディアの関心が集まっている。 

 英大衆紙デーリー・メール(電子版)などによると、業者は「ル・ブラ・フレール」という寺院などの修復を専門とするフランスの業者で、建物の骨組み改修と足場設置業者と並び、2017年、580万ユーロ(約7億3000万円)で寺院の尖塔改修業者に入札で選ばれ、今年から作業を開始。当日も作業を行っていた。火は寺院の屋根裏付近から出て、屋根全体や尖塔に広がった。 

 社長のジュリアン・ル・ブラさん(32)は火災現場で記者らに対し「この悲劇の原因を解明することに誰よりも関心があります。作業員もちゅうちょなく捜査に協力しています」と原因解明に全面的に協力する姿勢を示した。12人の作業員が作業に参加していたが、事故当時はその日の仕事を終え誰も現場にいなかったと説明。また「安全確保のためのすべての措置が尊重されていた」とも付け加えた。 

 同社のフェイスブックに新年に向けアップされた動画では、ル・ブラさんが「ノートルダム寺院を含むフランスの歴史的建造物の改修を任されたことを誇りに思う。2019年の仕事の準備はできているし、わくわくしている。われわれにはノウハウもある。歴史的建造物の価値を守ることが、われわれのDNAでもある」と誇らしげに語っていた。またノートルダム寺院ついては改修過程で、有名な尖塔にダメージを及ぼすことはないと強調した。 

 ル・ブラ・フレール社は1954年、ル・ブラさんの祖父が北東部ロレーヌ地方に設立。現在140人以上の作業員を抱え、これまでにフランスの偉人を祭るパリの霊廟パンテオンやストラスブール大聖堂など著名な歴史的建造物の修復の実績を持っていた。 

 ノートルダム寺院尖塔の改修を担当する業者に選定されたことについて、ル・ブラさんは大きな国際的グループではなく、フランスの小さな家族経営の会社が選ばれたことを強調。作業員は低賃金の外国の出稼ぎ労働者ではなく、すべてフランス人であることを誇りに思うとも語っていた。 (共同通信=太田清)