水中で非接触給電 実用レベル全国初開発 長崎県工業技術センターなど

水中での非接触給電が可能な装置。左側が電力を送る給電側、右側が受電側。コネクタで接続されているが、電磁誘導を利用し金属部分は非接触で給電される=大村市、県工業技術センター

 大村市池田2丁目の県工業技術センター(橋本亮一所長)は17日、海水の中で水中ロボットなどに給電する「水中非接触給電技術」を、県内企業や長崎大と共同で開発したと発表した。水中で実用レベルの電力を非接触式で供給する技術の開発は全国初という。
 同センターで開かれた研究成果発表会で明らかにした。電磁誘導を利用し金属同士が接触しない非接触式給電は、電気自動車(EV)のワイヤレス給電など空気中での技術開発は進んでいるが、電磁波が減衰する海水中で実用レベルの技術はなかった。
 新たな技術では、給電部と受電部の間に水が入らないよう工夫したコネクタ(連結器)を開発することで、十分な電力の供給を可能にした。また金属の接点がないことから、漏電やさびの発生を心配することなく水中ロボットへ給電できるようになり、メンテナンスでも利便性を向上させた。
 今後は洋上風力発電や橋のメンテナンスをするロボットへの給電をはじめ、漏電や感電のない安全なコンセントの開発などさまざまな応用が期待できるという。開発に携わった同センターの兵頭竜二次長は「水中ロボットメーカーなど本技術を活用してくれる企業とも協力しながら、さらなる改良や事業化につなげていきたい」と話した。
 研究成果発表会には企業関係者ら約50人が出席。五島つばき酵母を活用した加工食品の開発など計7件の発表があった。

© 株式会社長崎新聞社