今や5才児さえプログラミング。日経BPが絵本で学べるプログラミング本を出版

「スクラッチジュニア」は、5歳以上の子どもたちが、自分自身の力で対話型の物語やゲームを作ることができる、入門用プログラミング言語。この本では、そんな「スクラッチジュニア」を使って、親子で楽しくプログラミング体験ができます。

これまでの【子どもに読ませたいプログラミング教育関連の本】はこちら

  • タイトル,5歳からはじめるすくすくプログラミング
  • 監修・著,阿部和広
  • 著,橋爪香織、谷内正裕
  • 出版社,日経BP社
  • 価格,1,836円

絵本風味の展開で、未就学児のプログラミングへの興味を引き出す

子どもにプログラミングを学ばせたいお父さんお母さんの中には、いきなりプログラミング教室に通わせる前に、まずは独学で学ばせてみようと考えている方も多いのではないでしょうか。そんなとき、まず選択肢にあがってくるのが、ビジュアルプログラミング言語の でしょう。

でも、スクラッチの対象は8歳から。実際にやってみるとわかると思いますが、パソコンを使っての作業となるため、もしお子さんが小学校低学年以下だった場合、まだ難しいと感じることも多いと思います。

そこで、タブレットを使い、5歳~7歳児でもできるように開発されたのが、「スクラッチジュニア」なのだそう。「スクラッチジュニア」は、5歳以上の子どもたちが、自分自身の力で対話型の物語やゲームを作ることができる、入門用のプログラミング言語です。この本は、そんな「スクラッチジュニア」を使って、親子で楽しくプログラミング体験ができる本です。

‎ScratchJr

ScratchJr - Google Play のアプリ

絵本風味の展開で、最初の一歩のハードルを下げる

まず、この本を手にとって最初に感じたのは、タイトルでずばり「5歳から」と謳っているだけあって、未就学児でも抵抗なく入っていけるような工夫が施されているということです。

たとえば、冒頭の導入部分。ページには、絵と文章しかなく、雰囲気はさながら絵本のよう。内容も、ちょっとしたストーリー仕立てで進みます。

登場人物は、5歳の女の子「にゃ~こちゃん」と、宇宙人の「じゅにあ」。家の中で紙に絵を描いて遊んでいたにゃ~こちゃんの前に、地球の子どもたちの遊びを見学しにきたという宇宙人の「じゅにあ」が現れます。そして、じゅにあの世界で流行っているという「スクラッチジュニア」をにゃ~こちゃんに紹介するのです。自分でゲームを作ったり、お話を作ったりできるという「スクラッチジュニア」に、にぁ~こちゃんも興味津々です。

このように、プログラミング学習本でありながらも、導入をちょっとしたストーリー仕立てにすることで、その先に続くプログラミングへの子どもたちの興味を誘うような作りになっているのです。

情報が詰まりすぎてないのが○

また、この本全体を通して、“情報が詰まりすぎていない”という点もよいと感じました。プログラミング学習本の中には、1冊の中にこれでもか!というくらいぎゅうぎゅうに情報が詰め込まれているものもある中、こちらは幼児向けということもあってか、本編は「すくらっちじゅにあをはじめよう」(導入)「すくらっちじゅにあをたのしもう」(実際にプログラミングを体験)「たのしかったね」(締め)の、ざっくり3つだけ(付録的な内容や、大人向けのページも含めると、もう少し増えます)。

実際にプログラミングを体験する「すくらっちじゅにあをたのしもう」のところでも、テーマが5つに絞られているため、難しいながらも、親子でゆっくり進んでいくには、適当な量なのではないかと感じました。

カタカナもなし。全部ひらがなは読みにくい……

ただ、実際に子どもと一緒にやってみた親の立場からすると、1つだけ「これはちょっと……」と感じた点がありました。

それは、子ども向けパートの文章がすべて「ひらがな」であることです。漢字のみならず、「アプリ」「ダウンロード」といった通常はカタカナ表記にするものも、「あぷり」「だうんろーど」と、徹底してひらがな表記なのです。

いくら「5歳から」を謳っていると言っても、5歳と言えば、やっとひらがなを読めるか読めないかくらいの状態ではないでしょうか。もし、この本をすらすら一人読みできる子がいたとしても、この内容を子どもが自分だけで理解して操作できるかと言ったら、それは不可能でしょう(おそらく小学校低学年でも、親が説明してあげないと難しいと思います)。そのように考えていくと、「5歳から」であっても、実際に読むのは親です。“ある程度漢字やカタカナは使った上で、子ども用にふりがなをふる”くらいの対応がよかったのではないかなと感じました。

学習は子どものペースで

ちなみに我が家の5歳児にやらせてみたところ、やはりキャラクターに色を塗ったり、背景を自分で選んだり、キャラクターを動かせる体験はおもしろかったようで、「(キャラクターや背景を)選ぶ」「塗る」「動かす」の3つの基本動作を覚えたところで、勝手に自分で遊ぶようになりました(なので、我が家はいったん、この時点で本の先に進むのをストップさせました)。

子どもは自分が「おもしろい!」と感じると、そこを何回も繰り返し楽しむ傾向があると思います。一気に進もうとせず、お子さんの興味や習熟度に合わせて、毎日少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。

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子どもに読ませたい本 - バレッド(VALED PRESS)

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