志賀草津高原ルート きょう全線開通 日中に限定 バイクは認めず

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雪の回廊ウオーキングを楽しむ参加者   開通する区間

 草津白根山の白根山の火山活動に伴う志賀草津道路(国道292号)の一部区間(8.5キロ)の通行規制について、道路管理者の群馬県は18日、19日午前10時に規制を解除し、全線の通行を認めると発表した。噴火警戒レベル2(火口周辺規制)が継続されていることを踏まえ、通行は日中に限定するほか、バイクは認めないなどの条件を付けた。火山活動が急変した場合は、速やかに通行止めとする。

◎高さ6メートル 壮大な雪壁 18日 一足先にウオーキング

 一部が通行規制されている志賀草津道路(国道292号)の全線開通(19日午前10時)が発表された18日、冬季閉鎖中の同道路を歩く「第15回志賀草津高原ルート・雪の回廊ウオーキング」(草津町など主催)が同町と長野県山ノ内町を出発点に行われた。

 道の両側は高さ約6メートルの雪壁がつくる壮大な景色。県内外から参加した167人は、全線開通によって注目が集まる同道路を踏みしめた。

 昨年は1月の本白根山の噴火に伴い中止となったため、開催は2年ぶり。草津町側は一部コースを変更し、スタート地点を天狗山第一駐車場に設定。バスで山田峠まで移動し、そこから徒歩でゴールの志賀高原陽坂(山ノ内町)を目指した。

 初めて参加したという岩渕敏男さん(71)=東京都八王子市=は「この道は、テレビや新聞で見て気になっていた。想像以上に素晴らしい景色」と声を弾ませていた。

◎火山灰の影響直接受ける自転車やバイクなどは認めず

 気象庁や地元自治体などでつくる草津白根山防災会議協議会での検討を経て、草津町の黒岩信忠町長がレベル2の規制範囲(湯釜から半径1キロ)を維持したまま道路だけ例外的に立ち入りを認め、その上で県が冬季閉鎖の解除に合わせて全線通行を認めた。

 県は「火山活動が比較的静穏なことに加え、火山避難計画に基づく避難訓練や安全対策の状況、路面の状況など、安全面を確認して判断した」と説明した。

 規制が解除されるのは、殺生河原駐車場前―万座三差路の区間。通行できる時間帯は、午前8時~午後5時。10月15日から例年11月中旬の冬季閉鎖までは午後4時半まで。車のみ通行でき、噴火した場合に噴石や火山灰の影響を直接受ける恐れがある自転車やバイク、オープンカーの通行は認めない。夜間はいずれの車両も通行できない。

 噴火や火山活動の活発化、警戒レベル3への引き上げがあった場合のほか、視界不良により目視で監視できない場合は通行可能な時間帯でも通行を止める。緊急的に通行止めとする際は、県や町のホームページなどで知らせる。

 安全対策として、規制が解除される区間内の草津白根レストハウスなど3カ所に監視員を配置し、震動や異臭などを警戒する。解除区間に入る車両には現地で通行条件や噴火時の避難場所を記したチラシを配る。噴火の際はレストハウスやその近くに町が設置したシェルター4基(定員計120人程度)に避難させる。

 今回の通行条件や安全対策は、同防災会議協議会が新たにまとめた火山避難計画に盛り込まれた。計画に基づく17日の訓練では、火山活動が急変した場合に通行を止める手順を確認。町によると、通行止めの完了まで15分程度だった。

◎10連休の追い風に 草津や万座で歓迎の声

 一部区間が通行規制されていた志賀草津道路(国道292号)について、県が19日午前10時からの規制解除を発表した18日、地元の草津町では歓迎と安堵(あんど)の声が上がった。昨年1月の草津白根山の本白根山噴火から、一時は風評被害で観光客の減少に苦しんだ。書き入れ時の10連休(27日~5月6日)を前に待望の全線開通。草津温泉の誘客の追い風となるだけに、観光関係者は期待を膨らませる。

 19日の冬季閉鎖解除に伴って開く安全祈願式の準備に追われていた草津温泉観光協会。同日の全線開通が決まり、大川揚一事務局長は「大型連休へ向けて大きなアピールになる。長野県側からのアクセスが良くなり、誘客のきっかけになってくれれば」と声を弾ませた。

 湯畑近くで商店を営む山口芳雄さん(60)は、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)が続く白根山の火山活動に触れ、「(県には)リスクがある中で勇気のある判断をしてもらった。観光にとっては大きな恩恵だ」と歓迎した。

 同町と志賀高原のある長野県山ノ内町を結ぶ国道292号。地元では嬬恋村の万座を含む広域観光の“動脈”と位置付ける。峠からの雄大な景観を目当てに訪れるドライバーも多い。相模原市から訪れた中村富夫さん(66)、幸子さん(66)夫妻は「40年ほど前に新婚旅行で訪れた思い出の場所。景色が良いのでまたドライブに来たい」と笑顔を見せた。

 白根山の麓に位置する万座温泉でも喜びの声が上がった。万座温泉観光協会の山崎浩史事務局長は「万座にとっては草津と共存していくことが大切。(全線開通で)草津に訪れる人が増えれば、万座の客も増える」と話した。

 一方、白根山の噴火警戒レベル2は継続しており、全線開通は「例外的」。火山活動が活発化すれば即座に通行止めとなる。バイクや自転車など屋根のない車両の通行を禁止するなど厳格な条件もあり、観光客への情報周知が重要になる。草津温泉旅館協同組合の工藤強一さんは「お客さまの安全安心が第一。正確な情報提供を心掛けたい」と気を引き締める。

 18日、草津町役場で記者会見を開いた黒岩信忠町長は「もろ手を挙げて喜ばしいとは言えない。(これからも)万全な体制を継続していかなければという緊張感がある」と述べ、今後の火山活動に細心の注意を払う姿勢を強調した。