巨大絵画や文具使ったミニチュア風景 横須賀美術館企画展

横浜市磯子区から横須賀市・野比海岸までを上空から描いた巨大な絵画

 縮尺や視点によって見え方が変わる世界を楽しめる企画展が、横須賀美術館(横須賀市鴨居)で開かれている。文房具を使って日常生活を表現したミニチュア模型や、空撮した世界の墓地の写真など、物の大きさをテーマにした作品が紹介されている。6月23日まで。

 企画展「センス・オブ・スケール展」には、現代作家の作品約80点が並んでいる。

 会場で特に目を引くのが縦4メートル、横30メートルの迫力満点の絵画。横浜市磯子区から横須賀市の野比海岸までの沿岸部を、「津波から守るため、半島が30メートル隆起した」との空想を交えて、上空から描いている。

 地元出身のミニチュア作家は、市内に残る銭湯やバス営業所の整備室などを、5分の1から30分の1の模型で再現。建物の高さや奥行きを計測した上で設計した緻密な作品は、昭和レトロな雰囲気も漂わせている。

 NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のオープニング映像を手掛けたことで知られる、ミニチュア写真家・田中達也さんの作品も紹介。高さ数センチの人形を使うことで、ホチキスの芯を書類の山、ダブルクリップを待合室のベンチといった具合に、本来とは違う物に見立てているのが特徴だ。

 企画展を担当する学芸員は「作品を通し、縮小や拡大という変化を楽しみ、日常生活でも身の回りにある物の大きさに注目するきっかけになれば」と話している。

 観覧料は900円など。問い合わせは、同美術館電話046(845)1211。

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