民間施設で米艦整備、基地外では国内初 米軍「即応支え」

米海軍横須賀基地に入港するイージス駆逐艦「ミリウス」=2018年5月

 横浜市は19日、米艦船が整備のため、同市中区の民間施設に着岸した、と発表した。米海軍などによると、横須賀基地(横須賀市)に配備されているイージス駆逐艦「ミリウス」が、三菱重工業の横浜製作所本牧工場(横浜市中区)で定期整備を受ける。基地外での整備は国内初で、専門家は「民間施設の軍事化につながる」と懸念している。

 在日米海軍司令部は取材に対し、「米艦船の修理や改修を行う施設を、基地外に拡大する新たな取り組みの一環」と説明。ミリウスが計画に基づく1隻目で、民間の造船所を対象に入札を行い、三菱重工業が落札した。

 司令部は「米海軍の即応性を支えるため、施設が限られている基地の外にも選択肢を広げた」としている。

 同社によると、ミリウスはドックではなく、岸壁で整備する。同社は米艦船を修理する資格を持ち、これまでも社員が基地まで出向いて修理していた。整備期間などについて、同社は「契約の内容などは回答できない」とした。

 横浜市には今月5日、神奈川県には18日に、防衛省南関東防衛局から事前に連絡があった。同局は「国内法令に従って行っている。日米地位協定に違反するものでも、基地の拡大でもないと考えている」と説明した。

 一方、日米地位協定に詳しい呉東正彦弁護士は「協定違反には該当しないが、民間施設の軍事化につながる」と指摘。また「日本の領土内で米艦船を整備することで、特定秘密保護法の対象になるなど、働いている人たちに制限が掛かるのでは」と懸念した。

© 株式会社神奈川新聞社