平成の初めと終わりに

 「身の周りで喜ばしいことが多い」と感じる人は35%、「仕事よりも家庭生活を第一に考えている」人は79%で、共に昨年の数字が過去最高だったという。博報堂生活総合研究所は、実に約1400項目の「生活の定点調査」を長年、続けている▲「日本人は個人生活の充実にもっと目を向けるべきだ」と思う人が昨年は34%と、これも過去最高だった。身近なこと、家庭、個人の生活を重んじる向きが少しずつ強まっている▲調査を始めたのは1992(平成4)年で、平成の初期から毎年ずっと、物の考え方や暮らしぶりについて事細かく、同じことを問い、どう変わったかを浮かび上がらせてきた▲「日本の誇り」は何かと聞けば、答えは様変わりした。92年から昨年までに、日本の誇りを「高い科学技術水準」「教育水準」とした人は共に4割台から2割台へ下がっている▲同じ年月のうちに「国民の人情味」「義理堅さ」を誇りとする人の比率は、逆に上がった。数々の大災害に見舞われ、心配り、心遣いが列島に広がった平成の世をどこか思わせる▲今の生活に「満足」とした比率は近年わずかに増えて、昨年は69%と過去最高だった。社会も人の心持ちも変化した平成の終幕が迫る。新時代の満足度も上がるようにと、小欄の「三角」を右肩上がりに並べてみる。(徹)

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