メクル第363号 <旬感 V・ファーレン>・1 MF黒木聖仁選手(背番号10) 今の苦しさをパワーに

「サッカーが好き。楽しい」という初心をあらためて意識する黒木選手

 今、この瞬間(しゅんかん)に輝(かがや)きを放つ-。サッカーJ2、V・ファーレン長崎の“旬(しゅん)”な選手を紹介(しょうかい)する「旬感(しゅんかん)V・ファーレン」。選手は今、何を感じているのでしょう。どんな思いでピッチを走っているのでしょう。選手の胸(むね)の内(うち)に迫(せま)ります。

 昨年、3年ぶりにV・ファーレン長崎に復帰(ふっき)しました。「J1残留(ざんりゅう)」を使命に戦いましたが、J2に降格(こうかく)。再(ふたた)びJ1を目指すチームで今季、キャプテンに選ばれました。高校でも任(まか)されましたが、年上もいるプロの世界では重みが違(ちが)います。「どうしたらいいのか」。日々、葛藤(かっとう)は続きます。そして今、心に刻(きざ)むのは「初心」-。「サッカーが好き。楽しい」。自由奔放(ほんぽう)にボールを追っていたころを、再び思い描(えが)きます。

 気持ちを内に秘(ひ)めるタイプ。でも、キャプテンとして言わなければいけないこともあります。「ちゃんとしないといけない」。そう思うと、あえてふざけて空気を和(なご)ませていた自分が薄(うす)れてしまいました。ゲームのかじ取りを求められるボランチ。積極性も必要ですが、「ミスしちゃいけない」と思うと、ついプレーが消極的になったことも。

 キャプテンに選んだ手倉森誠監督(てぐらもりまことかんとく)は「ポテンシャルは持っている。リーダーにすれば、ひと皮むけるのでは。その背中(せなか)を見て、チームも変わってほしい」と期待。プレー面では「ゴール前のパンチ力がある。それを出してほしい」と課題を挙げます。

 2014年、J1セレッソ大阪(おおさか)からJ2のV長崎に加入。15年に4ゴールを挙げましたが、今季はまだ得点がありません。強みは豪快(ごうかい)なヘディングとキープ力で、「果敢(かかん)に攻(せ)める姿(すがた)を見たい」というファンも多い。10月で30歳(さい)。ベテランといわれる年齢(ねんれい)になりましたが、「成長するときはこういうとき」。今の苦しさをパワーに変え、進化する決意です。

 ■プロフィル

 くろぎ・まさと 1989年10月24日生まれ。宮崎(みやざき)県出身。3児のパパで、子どもの寝顔(ねがお)を見るのが癒(い)やし。趣味(しゅみ)は素潜(すもぐ)り。180センチ、72キロ。29歳(さい)。

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