突然体の力が抜けて転倒、今後不安

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 昨年、突然体の力が抜けたようになり倒れました。救急で点滴治療や脳のMRIを受けました。脳出血や梗塞腫瘤性病変はなく、血管狭窄(きょうさく)や動脈瘤の形成もないと説明され、軽度の「慢性虚血性変化」と言われました。今後も外出先で倒れないか心配です。この病気について教えてください。(福井県福井市、72歳女性)

 【お答えします】井川正道・福井大学医学部附属病院脳神経内科講師

 ■繰り返すようなら再受診を

 急に倒れる原因にはさまざまあります。気を失ったり(失神)、手足にまひが出たりしなかったかなどの詳しい状況を聞いて、検査や診断を行うことが一般的です。頭の病気(脳梗塞や一過性脳虚血発作、てんかんなど)だけでなく、心臓や血圧(不整脈や起立性低血圧など)といった内科的な問題(貧血や脱水など)の可能性もあります。恐らく救急では、こういったことも考慮して診察が行われたと思いますが、繰り返すようでしたら、もう一度受診されることをお勧めします。

 ■多くは加齢によるもの、しかし危険因子に注意を

 さて今回の相談は、頭部MRIで軽度の「慢性虚血性変化」があったとのことでした。これは大脳の白質(脳の中心に近い部分)に、小さな白い影がいくつかみられたものと推測します。このような所見は正確には「大脳白質病変」と言いますが、多くは年齢による自然なものですので、そういった意味で「慢性虚血性変化」と伝えることがしばしばです。脳梗塞とまぎらわしい場合もありますが、MRIの別の画像で区別しています。

 慢性虚血性変化は、軽度(小さなものがぱらぱらある)から高度(白質の大部分に広くみられる)まで、さまざまな程度でみられます。他に脳梗塞や脳出血、血管狭窄などの病変がなく、軽度の慢性虚血性変化だけでしたら、それ自体が倒れるなど何かの症状の原因となることはなく、ほとんど心配ありません。

 先にも述べましたように、多くが加齢に伴って出てくるもので、実際にご高齢の方ではしばしば認められます。しかし高度になると、脳卒中や認知症、歩行障害との関係が言われています。高血圧症、糖尿病、不整脈(心房細動)、喫煙習慣などが、慢性虚血性変化を悪化させる(増やす)原因になります。特に高血圧症が一番の危険因子ですので、もしそうなら、慢性虚血性変化を増やさないためにも、食事・生活習慣の見直しを含めて、しっかりとした管理・治療を受けてください。