牧野任祐が衝撃のデビュー戦ポール。ナカジマレーシングが9年ぶりの最上位グリッド獲得【スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿予選】

 新型車両SF19のデビュー戦となる全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦鈴鹿の予選が行われ、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)がデビュー戦でポールポジションを獲得するという偉業を達成。2番手にはチームメイトのアレックス・パロウが並び、TCS NAKAJIMA RACINGがフロントロウを独占。3番手は山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とホンダ勢が上位を占める展開となった。

■Q1:赤旗3回の波乱スタート。坪井らルーキー5名が敗退

 鈴鹿サーキットは好天に恵まれ、気温20度、路面温度25度というドライコンディションのなかで予選セッションがスタート。ところが、いきなりアクシデントに見舞われてしまう。開始5分を迎えようかという頃、ルーキーの坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が1コーナーの先でスピンを喫して、そのままグラベルを横切ってタイヤバリアに進行方向と逆向きに横からクラッシュ。これによりQ1は開始早々に赤旗中断に。幸いにも坪井は自力でマシンを降りることができている。

 7分ほどの中断を経て予選Q1セッションが再開。しかし今度は、デグナーのふたつ目の進入ででアーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)がコースアウトして正面からタイヤバリアに突っ込んでしまい、早くも2度目のセッション中断となった。車両回収を行い、7分半の中断ののちにQ1が再開された。

 この時点で残り10分を切っているが、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)やニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)らのようにセッション再開とともにコースへ出ていくマシンと、コースインを遅らせるマシンとで戦略が別れた。残り7分を切ると多くのマシンがコースへ出て行き、ミディアムタイヤでのアタックへ向かった。

 ところが、ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)がスプーンカーブの出口で縁石に乗ってしまったか、ハーフスピン状態に陥り、イン巻き状態でコース外からライン上に戻って来る。そこで後続でコーナーのイン側を走行していた中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)がタイヤスモークを上げてブレーキングするも間に合わず、横向きになったニューウェイのマシン先端に突っ込む形となってしまった。中嶋のマシンからはフロントウイングが脱落してパーツが飛び散り、ニューウェイもグラベルでストップ。残り時間5分14秒のところで、このセッション3度目の赤旗が出されることになった。

 その後、ピットレーンにはほぼ全車が並んで走行再開を待ち、14分半ほどの中断を挟んでセッションが再開。計測1周目にタイムを出したドライバーと、2周目にアタックを行ったドライバーとでタイミングが別れたものの、あまりタイムは伸びず。このQ1では坪井、マルケロフ、ニューウェイ、中嶋に加え、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、トリスタン・シャルパンティエ(REAL RACING)、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)が敗退となった。

■Q2:有力ドライバーたちが次々と脱落し、ナカジマレーシングが上位を独占。パロウがトップ通過

 7分間で行われるこのQ2からは、全車がソフトタイヤでスタート。6分を切ると、各車が徐々にコースへ出て行く。

 多くのドライバーが計測2周目にアタックを行う状況のなか、2018年王者の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とチームメイトの福住仁嶺は計測1周目にアタックを行い、2台揃ってQ3に進出を決めた。

 好調ぶりを発揮しているTCS NAKAJIMA RACINGのアレックス・パロウがトップでQ2を通過し、チームメイトの牧野任祐が2番手に。小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの平川亮と関口雄飛もQ2を突破したが、国本雄資(KONDO RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)がここで敗退となった。

■Q3:牧野がデビュー戦でポールポジションを獲得! ナカジマレーシングがフロントロウ独占

 Q3では、各車アタックを行うのは1度のみ。タイヤはソフトの基本的にユーズドタイヤを装着してのアタックとなる。Q3に残った8台は山下を先頭にコースインをしていくが、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台、山本と福住はコースインせずに待機。Q2同様に計測1周目のアタックを狙う。

 まずは山下がターゲットタイムとなる1分36秒730を出すも、鈴鹿を得意とする山本がそれを上回る1分36秒312をマーク。ところがパロウがさらに山本のタイムをコンマ3秒上回る1分36秒089を記録し、ここでポールポジション獲得かと思われた。

 だが、パロウに遅れてアタックに入っていたチームメイトの牧野が最後に1分36秒060というトップタイムを叩き出し、パロウのタイムを0.02秒上回り、スーパーフォーミュラのデビュー戦でポールポジションを獲得するという偉業を成し遂げる。TCS NAKAJIMA RACINGがフロントロウに2台並び、ナカジマレーシングとしても2010年の第4戦ツインリンクもてぎで小暮卓史がポールを獲得した時以来となる、9年ぶりのポールポジションとなった。

 終わってみればQ1からQ3までTCS NAKAJIMA RACINGがトップと2番手を独占し、前から2列目をホンダエンジン勢が占めるという結果に。トヨタ勢のトップは、5番手の関口となった。

 デビュー戦ポールの牧野が決勝でどのような走りを見せるのか、注目の決勝レースは日曜日の14時00分から43周で争われる。

予選Q1、Q2でトップだったアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)は2番手に。チームメイトの牧野と喜ぶ
昨年チャンピオンの山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は予選3番手を獲得

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