地銀や信金、岐路迎えた店舗戦略

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福井銀行の移動店舗車「クルーザー」を利用する高齢者ら=4月15日、福井県永平寺町山王の旧上志比支店駐車場

 福井県内の銀行、信用金庫が従来型の金融から脱却、変わろうとしている。長引く低金利、押し寄せるIT化の波、県境をまたぐシェア争い―。取り巻く環境がめまぐるしく変化する中、新時代に向けた「次の一手」を探る。

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 福井銀行旧上志比支店(永平寺町山王)の駐車場に、ブルーの中型トラックが待機している。時折、訪れた住民らが後方から中に入っていく。トラック内にあるのはATM(現金自動預払機)と窓口。近くに住む1人暮らしの女性(83)は「店舗がなくなったのは不便だけど、週に1回でも、決まった時間に来てくれて助かる」と話す。

 このトラックは、同行が店舗を廃止したエリアに派遣する「移動店舗車」。上志比支店は2018年7月、永平寺支店に移転・統合され、顧客利便性の確保へ移動車が週1回巡回する。“動く銀行”は、同様に店舗再編された県内4カ所で稼働している。

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 県内の金融機関は、かつての高金利時代に利益を生み出した“資産”である営業店の運営を見直す動きを強めている。福井銀行は16年度から3年で15店舗を減らし、現在は80店舗体制にまで縮小した。140店あった1990年代初めに比べると約4割も減ったことになる。

 同行頭取の林正博は「20年前に約40店舗を廃店した。今が第2波になる」と話す。「年々、確実に来店者は減っている」状況で、建物は次第に老朽化が進む。「店舗改修のタイミングでマーケットを見極め、場所を見直す。具体的な数字はないが、2店舗をくっつけて大きくする形での再編計画はまだある」と打ち明ける。

 福井信用金庫にも再編の波が押し寄せている。16年に旧武生信金と合併。肥大化した店舗網のスリム化を図り、合併直後の56店舗から現在は48店舗体制となった。4月からは「少人数での効率的な店舗運営によるコスト削減」(総合企画部)を目的に営業店の平日休業に乗り出し、味真野(越前市)、池田(池田町)の2支店を隔日営業に切り替えた。企業間の決済に利用される当座預金を扱う店舗での平日休業は、全国の信金で初めての取り組みという。

 金融機関の営業時間を巡っては、16年の規制緩和により、原則午前9時~午後3時に決まっていた店舗の営業時間が地域の実情に応じて変更できるようになった。福邦銀行は業務効率化を目的に、17年4月から3支店で1時間の昼休業を導入している。

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 「スマートフォン(スマホ)さえあれば事足りる。口座はつくれるし、電子マネーにチャージして買い物もできる」。福井市内の40代男性会社員は、現金を持ち歩くことがめっきり減った。預金口座やクレジットカードの利用明細をスマホでチェックしながら「銀行にはここ何年も行ってない」とつぶやいた。

 金融業界で急速に進むIT化の恩恵を受け、現金に依存しないスマホ世代には店舗再編は無縁にも映る。人口減少、高齢化社会で来店客が減る中、最適な店舗数はどこにあるのか―。県内金融機関の模索は続く。

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