北朝鮮大使館を襲撃した自由朝鮮のもう1つ重要な動き

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月22日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。「自由朝鮮」を名乗る北朝鮮の反体制団体について、アメリカ当局がメンバーの元海兵隊員を逮捕したニュースを解説した。

北朝鮮大使館を襲撃した自由朝鮮のアメリカ人を逮捕

ワシントンポストは週末、「自由朝鮮」を名乗る北朝鮮の反体制団体が、2月にスペインのマドリードにある北朝鮮大使館を襲撃した事件で、アメリカ当局がメンバーの元海兵隊員クリストファー・アン容疑者を逮捕したと伝えた。この事件での逮捕者は初となる。

飯田)アメリカ当局は他にも、自由朝鮮の指導者でアメリカ在住のメキシコ人、アドリアン・ホン・チャン容疑者の自宅も捜索したということです。

須田)一見すると自由朝鮮とアメリカ当局が対立、対峙している構図に見えるのですが、私は必ずしもそうとは見ていません。この自由朝鮮はもう1つ重要な動きに関与していて、金正恩氏の兄である金正男氏の息子、金漢率氏をかくまっていると。もともと台湾に居た金漢率氏を、説得してアメリカ本土に連れて行って保護していると言われている。先日アメリカに行ったときに当局者と会って話をしたら、ほぼ間違いない話のようです。それを主導している、金漢率氏の身の安全を図っているのが自由朝鮮なのですね。そうすると、ここへ来て自由朝鮮の動きが目立って来ているところがあって、どうもそれにFBIではなく、CIAが関与しているのではないかという影がチラつくのですよ。確証はありませんが。

金正恩朝鮮労働党委員長と会談したポンペオ(2018年3月31日)(マイク・ポンペオ – Wikipediaより)

「ポンペオ国務長官を外せ」という北朝鮮の要求の真意

須田)この話を頭に入れておいた上で、先日こういうニュースが流れました。核ミサイルの廃棄を巡っての米朝交渉を進めるにあたって、ポンペオ国務長官を外せという要求が北朝鮮サイドから突き付けられた。もともとポンペオ国務長官は、前任であるCIA長官時代に水面下でアメリカと北朝鮮の間の交渉を進めて来た人物なのですよ。だからポンペオルートで第一次、第二次の米朝首脳会談が実現できたと言っても良いのです。
しかし、それを外せというのは一体どういうことかと言うと、そもそも北朝鮮の諜報工作機関とCIAがずっと引いて来たレールなのです。その一方で、どうもCIAが裏切りというか、友好的なスタンスを見せるなかで敵対的な行動を取っていたと受け止めたのでしょうね。だから、そこを外さない限り第3回目の米朝首脳会談は無いというメッセージを送って来たのかなと思います。

飯田)CIAも何をちょろちょろやっているのだ、俺たちだってわかっているのだと。

須田)ただアメリカ側のメッセージとしては、核ミサイルを放棄しなければ、場合によっては軍事的衝突があって、それが起こらなくても体制チェンジを仕掛けても良い。こちらの手の内には金正男氏という、本来ならば正当な後継者である人物の長男、金漢率氏のカードがあるのだというメッセージ性もあるのではないかと思いますね。

ロ、在日米軍で回答要求  モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(タス=共同)=2018年12月20日 写真提供:共同通信社

ロシアに接近することでバランスを取りたい北朝鮮

飯田)もともと金正男氏をかくまっていたのは中国と言われていたではないですか。中国では守り切れなかったけれど、アメリカに身柄があるとなると、これはがっちりキープすることになるのですか?

須田)そうですね。加えてアメリカが身柄をキープするにあたって、中国サイドの了解も取り付けている節があるのですよ。台湾においてはアメリカ、中国、イギリスなどが金漢率氏に関してがっちりガードしましたから。中国のある種の了解がなければ、アメリカへ身柄をスムーズに連れて行くことはできなかったのではないかと思います。

飯田)その構図で考えると今週、金正恩氏がロシアに行くでは無いですか。中国もいままで血の同盟と言われていましたが、その動きのなかで信用ならないから、ではロシアだということで追い詰められている部分もあるのですか?

須田)バランス上はかなり北朝鮮サイドが不利です。そのバランスを取ろうと、つまりロシアに接近することでバランスを取らなければ、交渉でも不利になると考えたのではないかと思います。

飯田)ダイナミックに動いていますね。

須田)そうですね。だから、今回のアメリカが身柄を拘束した、逮捕したことも別の意味合いがあるのかと思いますけれども。

飯田)表ではこういう動きになっていて、これで自由朝鮮とアメリカの公的機関は切り離されることになるわけですよね。

須田)独立して動いているのだと。つまりこれをやらなければ、アメリカ、北朝鮮、中国以外の国々がこの問題をどう見るかなのですよ。それぞれの国が、アメリカが裏で糸を引いているのではないかという見方を強めると、交渉を進めて行く他の国々にも不利だという判断が働いたのだと思います。

飯田)ここまでやっておかないと、スペインの収まりがつかない。

須田)そうですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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