国賓招いた「正庁」、神奈川県庁本庁舎に復元 5月3~5日公開

復元された県庁本庁舎の「正庁」。中央が当時の奉安殿

 県庁本庁舎(横浜市中区)で、1928年の完成当時、幹部を集めた儀式や国賓らの来庁時に使用されていた部屋「正庁(せいちょう)」が復元された。5月3~5日に一般公開される。

 正庁は本庁舎の4階正面にあり、約170平方メートル。和風と洋風が融合した部屋で、創建当時は室内中央の奉安殿に昭和天皇、皇后の「御真影」が掲示され、木を格子に組んで板を張った「格天井(ごうてんじょう)」の中央からガラスで装飾された豪華なシャンデリアがつるされていた。

 執務室が足りず、戦後は装飾品を取り外すなど改修して2016年まで通常の業務に使われていた。しかし歴史的建造物の保存・活用を図るため、昨年6月から約9カ月かけて元の姿に復元した。

 復元にあたり、保管していた長さ約2.7メートル、重さ約220キロのシャンデリアを分解、清掃して再設置。タイルカーペットをはがし、寄せ木で模様が描かれた床も元通りにした。壁は当時の図面を元に、コルクチップで凹凸をつける仕上げを施した。黒岩祐治知事は17日の定例会見で、「正庁は立派な趣がある。観光客らに県庁の魅力を味わってもらいたい」と期待を込めた。

 正庁の見学は無料。年間20回程度公開される予定で、5月3、4日には解説会なども行われる。

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