旧型プリウスのペダル踏み間違え事故を防げ! トヨタの後付け純正部品に再び注目が集まる

トヨタ プリウス(3代目)

プリウスがにわかに注目を集めてしまった

2019年4月19日、白昼の東京・池袋で起きた乗用車の暴走による母子死亡事故の痛ましいニュースは、その後も様々な事象で世間を騒がせ続けている。事件の悲惨さや高齢者ドライバーの問題もさることながら、被疑者が勾留されないのは華々しい来歴に忖度したのではとネット上で反響を呼び、“上級国民”なるネットスラングも注目キーワードに。さらにドライバーが乗っていた車種「プリウス」までがにわかに注目を浴びている。

誰もが知る「プリウス」は、日本を代表するハイブリッドカーの老舗ブランドだ。圧倒的な低燃費性能や先進的なデザインで、代を追うごとに幅広い層から支持を集めてきた。特に3代目モデルは新車販売ランキング上位の常連で、一時期は納車待ちが半年を超える事態にもなっていたほど。

そんな超人気モデルゆえ、プリウスを路上で目にしない日はない。そうなると、例えばアクセルとブレーキの踏み間違えでクルマが暴走した、というニュース映像で「たまたま」それがプリウスだったケースも出てくる。これは決してプリウスだけの問題ではないのだが、揶揄する一部ネットユーザーの声が少なからずあるのも確かだ。

4代目プリウスは先進の衝突回避支援システムを投入

トヨタ プリウス(2018年マイナーチェンジモデル) グレード:A “ツーリングセレクション”(2WD)/ボディカラー:ブルーメタリック

2015年に発売された4代目となる現行プリウスでは、トヨタは新たに衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」を搭載。様々な先進機能で、ドライバーのミスや不意の事故の多くを回避出来るようになった。数が売れる車だからこその責務でもあり、また広く普及することで我々が享受出来る利点も、実は非常に大きいはずだ。

とはいえ過去に販売され、今も街で走り続ける旧モデルの数もまた膨大なものがある。トヨタの2015年時点でのデータによれば、1997年デビューの初代から3代目モデルだけで、実に150万台以上を国内で販売しているという。

そこでもトヨタは考えていた。2018年12月に発表された、後付けの「踏み間違い加速抑制システム」だ。

トヨタが考えた、後付け出来る「踏み間違い加速抑制システム」とは

トヨタ 後付けの踏み間違い加速抑制システム(トヨタ純正部品)[トヨタ プリウス(3代目)用] [撮影:和田 清志]

後付け出来る踏み間違い加速抑制システムは、トヨタの純正部品として全国のトヨタ販売店で取り扱われる商品だ。

前後バンパーに合計4カ所の超音波センサーを組み込み、車両の前方と後方の約3m以内にある壁などの障害物を検知。まずブザー音で注意喚起し、それでもブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでしまった際には、加速を抑制させる(完全停止はしない)。万が一のヒューマンエラーを防ぐ後付け機能で、価格は55,080円(消費税込・取付工賃などは含まず)となっている。

ただし対象となるのは3代目(30型)プリウス(ほかには「アクア」にも対応)のみ。池袋でのニュース映像を観る限り、当該車種は2代目(20型)だったが、現時点ではまだ対応していない。ただしトヨタの発表によれば、対象車種は拡大していきたい意向だという。今後の展開にも期待したい。

まだまだ限定的な機能だが、それでも装着する意義はある

トヨタ 後付けの踏み間違い加速抑制システム(トヨタ純正部品)[トヨタ プリウス(3代目)用] [撮影:和田 清志]

またそもそもこの純正踏み間違い加速抑制システムは、あくまでも発進時に前後の障害物を検知し、警告・抑制する限定的な機能だ。超音波センサーも、前後約3m以内の障害物しか検知しない。例えばデジタルカメラやミリ波レーダーを使い、走行時に歩行者やクルマを検知し緊急ブレーキを作動させるToyota Safety Senseのような高度な機能ではない。

とはいえ、駐車場での暴走事故については未然に防ぐ可能性は高い。まずそれだけでも装着する一定の意義はある。しかも5万円少々で後付け出来るなら、例えば田舎で暮らす両親が乗るプリウスにつけてあげよう、などと考える子世代も少なくないはずだ。ペダルの踏み間違い事故の抑制につながる「はじめの一歩」として、トヨタの後付け踏み間違い加速抑制システムの展開にはあらためて注目しておきたい。

[筆者:オートックワン編集部]

[踏み間違い加速抑制システム【トヨタ公式動画】](

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