【山ごはん】100均でできる! テント場で人気者になれちゃう超簡単スモークメシ キャンプ料理の定番、みんな大好きな「燻製・スモーク」。 とは言え、同じアウトドアでも登山時の料理としては、道具も手間も「ありえない!」というのが一般的。 ですが工夫次第で「激安・簡単・手間要らず」な山スモークメシが出来てしまうのです! そこで、食と酒が大好きな筆者が、100均活用の山スモーク料理術をお送りします!

山で燻製ができちゃう!?

アウトドアやキャンプでの定番料理と言えばBBQ・焼肉ですが、燻製・スモーク料理もそれに肩を並べる代表的な料理です。 しかしスモーク料理は、専用燻製器の用意や温度管理、知識など「なんとなく難しい」と感じる人も少なくないですよね。

(幅22.2×奥行19.4×高さ41.5cmで、重量は2kg!)

さらに「燻製器なんて山に担いでいけないし…」と思うのも当然。上のフォトはキャンプで使用する燻製器・スモーカーですが、さすがにこれを担いでの入山は困難です。

困った時の…みんな大好き100円ショップ!

そこで、スモーク料理が大好き且つULハイクを得意とする筆者が、「実際の登山に持参できる現実的なアイテム」を前提に山でのスモーク料理に必要なギアと方法を紹介します。 しかも必要なギア調達先は、みんな大好きダイソーやセリアなどの100円ショップ! 安いものを活用・工夫するのは、山ヤの気分が上がりますよね!

持ってるクッカーやコッヘルは「使用しない」が◎

一般的に私たちが使用している登山用コッヘルは、アルミやステンレス、チタンなどの材質で出来ており、メーカー各社「空焚き厳禁」なものがほとんどです。 何か具材や汁物などを入れての直火調理はOKですが、空焚きは変形や破損の恐れがあるため、スモーカーとして使用すべきではありません。

100均で揃う山スモークに必要なギアはこちら!

今回、スモーク用に準備したギアは以下4点。

蓋だけ手持ちのクッカーセットから転用。 山では重量増を防ぐため、出来るだけギアは兼用できることが望ましいです。 また、アルミホイルは、あらかじめ焼き網にセットしていけば、まったくかさばりません。
蓋を除いて、燻製器として掛かる費用はわずか300円!

空焚きするには、やはり素材は「鉄」ベースである必要があります。今回100均の「セリア」にて見つけたのが「取っ手付き ミニ 丸型 焼き網」。

サイズは約292×φ158㎜、実測重量 112.5g と超軽量です。 取っ手が固定されているため収納は少し工夫する必要がありますが、ULハイカーでも納得できる軽さと言えます。

使用する食材を選ぶ時のポイント!

基本的にすべての食材は、火を通さなくてもそのまま食べられる加工食品を選んでいます。 保冷剤と保冷バッグと共に長時間ザックに入れっぱなしになるため、生鮮食品ではない加工食品の方が安心です。 また、現地でのカットが不要な一口サイズのものが便利。 モチロン、保冷バッグも100均です。

タコやホタテ、牡蠣なども本当に美味しいのですが、登山というシチュエーションを考慮し今回持参した食材がこちら。

それとちょっと贅沢に。

超簡単で目からウロコ! 実際にスモークしてみよう

①アルミホイルとチップを敷く

まずは取っ手付き網部分を取り外し、アルミホイルを敷いてチップを適量敷き詰めます。 スモークチップの量が少ないと、すぐに黒焦げるので、焼き網に当たらない程度で多めに投入しましょう。

②食材を並べて点火!

焼き網をセットし火に掛けていきます。 登山用バーナーの火力は非常に強いため、コンパクトなスモーカーへの伝熱はあっという間です。 そのため、火加減は中火~弱火程度がお奨め。 ただ、火力は使用するストーブの能力や標高によって異なるため、適宜最適火力の調整が必要です。 尚、食材は点火前に焼き網上に並べてしまいましょう。

③蓋をしめて15分ほど待つ

最初は中火にかけ、煙が立ち上ってきたら弱火にします。 香ばしいスモークの香りが立ち上ってきて野外感バツグンです。 撮影用に蓋を外していますが、スモークは煙と香りで燻すものなので、食材を並べ蓋をして点火したら、じっくりと待ちましょう。

今回持参したスノーピーク・チタンクッカーの蓋はほぼぴったり。 一般的なサイズのクッカーの蓋なので、おそらくお手持ちのものの転用ができるはず。 この状態で15分ほど燻煙し、食材に香りをつけていきます。
持参した加工食品の食材は火を通さずとも食べられるものばかりなので、待ち切れない人は、余っている食材をツマミにしてのんびり呑んで待つだけでOK!

ちなみにベビーチーズは、網に乗せる面の銀紙を剥がさないようにするのがポイントです。 こうしておかないと、チーズが熱で溶けて網に埋没してしまいます。 また、銀紙面はいわゆる「おこげ」が出来やすいので、燻製後、銀紙を剥がすのは少し手間ですが、ものすごく香ばしくて美味しい「当たり部分」ですよ! チーズは、扇状の6Pチーズでも美味しくできます。

(撮影用に蓋を外しています)

立ち上る煙…なんとも食欲をそそられる見た目と香りです。 とってもワクワクしてきます!

③15分後、完成~!

およそ15分後、蓋を開けてみると…良い感じにスモークされています。 チーズがふんわりトロ~リとして美味しそうです。 燻り具合はお好みでどうぞ!

仕上がり具合は…?

ハムステーキ、燻り加減が最高です! モチロン見た目どおり、バツグンの美味しさ。 山での肉の旨みは、疲労した身体に沁みますよね。 たんぱく質はエネルギー源となりますので、山での補給にぴったりです。

ヤングコーンも燻された香りに加え、水分が抜けたことによって、甘みとコクが凝縮され、ホクホクな美味しさがたまりません!

モチロン、「くんたま」も説明不要の美味しさ! 外に薄皮がパリッと張り、香りと黄身のコクが食欲増進させます。

食材を食べ終え、念のために焼き網本体の底面を確認しましたが、鉄素材のため全く問題なし。
スモークチップは、完全に熱が落ちたらアルミホイルごと包んでゴミとして持ち帰れます。 手を汚すこともなく片付けられ、本当に簡単・手間要らずです!

今回持参の食材を採点!

スモークする食材は基本的に個人の好みで選ぶのが一番ですが、「山に持っていく」ことを考慮すると、やはり携行性、コンパクトさ、カット要らず、且つ、傷みにくい加工食品であることが好ましいです。
今回選定の食材は、日本の一般的なスーパーで購入可能なものをチョイスしましたが、やはり気になるのは「スモークとの相性」ですよね! 今回は、チップの香りとの相性ではなく、スモーク料理(熱燻)に向いているかどうか+生で食べた時との比較で、採点してみました。

食材:

  • 皮なしウインナー: ★★★★★
  • サラダチキンスライス: ★★
  • チーズちくわ: ★★★★
  • ベビーチーズ: ★★★★★
  • 煮込み うずらの卵: ★★★★★
  • マッシュルーム: ★
  • ヤングコーン: ★★★★★
  • スモークサーモントラウト: ★★★
  • あらびきミニステーキ(ハム): ★★★★★
  • 角切りベーコン: ★★★★★

点数(5点評価):

  • 皮なしウインナー: しっかり香りが付き美味しい。圧倒的に燻製勝ち。
  • サラダチキンスライス: 水分が抜けパサついた食感。生の方が美味しい。
  • チーズちくわ: 燻製も美味しいが、生も捨てがたい。
  • ベビーチーズ: トロトロ&香ばしさ、おこげの旨さは◎!圧倒的燻製勝ち
  • 煮込み うずらの卵: 薄皮のパリッとした食感に芳醇な燻製香。燻製勝ち。
  • マッシュルーム: 燻すと酸味が増していまひとつ。 生の方が美味しい。
  • ヤングコーン: 甘みとコクが凝集しホックホクの美味しさ。燻製勝ち。
  • スモークサーモントラウト: 火の入れ具合が難しいが美味しい。ただ生の方が◎
  • あらびきミニステーキ(ハム): 素晴らしい美味しさ!燻製との相性バツグン!
  • 角切りベーコン: 素晴らしい美味しさ!燻製との相性バツグン!

コメント:

  • 皮なしウインナー:
  • サラダチキンスライス:
  • チーズちくわ:
  • ベビーチーズ:
  • 煮込み うずらの卵:
  • マッシュルーム:
  • ヤングコーン:
  • スモークサーモントラウト:
  • あらびきミニステーキ(ハム):
  • 角切りベーコン:

今回選定の食材は、一部を除いてどれも美味しいスモーク料理になりました。 その中でも特に美味しかったものは、ベビーチーズ、煮込みうずらの卵、ヤングコーン、あらびきミニステーキ(ハム)、角切りベーコン。 山のテント場や山頂でこれらをスモークして食べたら、その非日常っぷりに贅沢な時間を過ごせることうけあいです。 また、スモークの香りが周りのハイカーさんを呼んでしまうかも!

スモークメシで優雅な山メシを!

本格的な燻製器を使わなくても、100均商品でじゅうぶん贅沢なスモーク料理が堪能できました。
しかも、中火~弱火で蓋をして約15分燻煙と、その方法もいたって簡単!
前準備は、使用する分のアルミホイルをあらかじめ敷き、スモークチップもジップロックに平たく収納、焼き網本体と網の間に収納してしまえば、携行する容積は焼き網分のみ。 とてもお手軽ですよね。
激安で簡単・お手軽な山スモーク、ぜひお試ししてみてはいかがでしょうか?
それではどうぞ良い山行を!

文・撮影 三宅 雅也 (山岳ライター、長野県自然保護レンジャー)

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