約27年ぶりに週間TOP100入りを果たした杉真理のデビュー40周年記念アルバム。今年65才とは思えないほどポップな楽曲が詰まっていて、この若々しさは何処から来るのかと最初に驚いた。
全12曲を聴いていくと、その答えが見つかる。「楽しんで、楽しんで」と甘い声で楽し気に歌う『最高の法則』や、別れた相手を想起する甘酸っぱいラブソングすら爽快に仕上げてしまう『This Life』など、とにかく表裏がない。それでいて思いやりに満ちている。
また、盟友の故・村田和人に捧げたであろう『平和な人へ』は、彼が憑依したかのようなリゾート風ポップスだし、続く『君といた夏』でも、もう会えない相手から受けた愛に感謝する、という気高さにひたすら感心する。ラストの『コロンブス』でも、彼が軽やかに「大丈夫さ」と何十回繰り返し歌うと、自然と前向きになれる。なんだかポップスの、ひいては人生の大基本を教えられた気がした。
杉真理による全曲の解説も清々しい。本作を聴けば、様々な形で降り注ぐ愛をもっと素直に受け止められるようになるはず。
(ユニバーサル・3000円+税)=臼井孝