ビクター CD-4 ステレオ カタログ

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家電蒐集家松崎が考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。今回は70年代にオーディオ界に突如出現した4チャンネル方式ステレオ機器のカタログを取り上げます。

音が立体的に聴こえる4チャンネルは現代のサラウンドよりも衝撃的な音響システムだった。

このカタログは今から約半世紀前にビクターが1970年に開発し発表したCD-4という4チャンネルステレオ製品のカタログだ。今で言うサラウンドの元祖のテクノロジーだ。
当時4チャンネルステレオはビクターの開発したCD-4が含まれるディスクリート方式と、マトリックス方式があった。その中で更に細かく方式が別れ、メーカーの陣列も統一されず規格の乱立状態が続き比較的短命に終わったテクノロジーだった。そしてオーディオや映像関係は後々まで規格の乱立が多い時代が続いているのが現状だ。それでは実際のカタログを見てみよう。

黒バックの中に浮かび上がるターンテーブルとレシーバー、特にレシーバーは車のインパネのメーターを彷彿させるメカニカルなデザインで、これだけ見てもゾクゾクしてしまう表紙だ。

では中を開いてみよう。見開きで登場するのはこの時代に活躍していた日本はもちろん、世界のミュージシャン、アーティストたちのイラストが何ともいえない。エルビスプレスリーから和田アキ子までお世辞にもうまい絵とは言えないが独特の味のあるイラストだ。そしてCD-4は日本ビクターが開発した技術を強調している。更にマトリックス方式よりもディスクリート方式(CD-4)が優れている理由がキャプションで紹介されている。

更に中を開くとDFシリーズのラインナップとCD-4の説明が見開き4ページにわたって詳しく紹介されているので一気に見てみよう。まずこの時代のステレオの特徴だが基本家具調と呼ばれる木で出来た重厚なデザインが主流で音を奏でる家具といったところだろうか。時代を感じるデザインだ。当時筆者の家にも親父が使っていたステレオがまさにこのタイプで畳のお茶の間に家具調テレビと共に置かれていたがゴージャスな佇まいは昭和のお茶の間にはちょっと似付かわしくなかった思い出がある。また、DFシリーズの価格帯は13万台から26万台と幅広かったことがわかる。今の貨幣価値に換算すると40万から80万台とかなり高価な製品だったことが分かる。

裏表紙を飾るのはそれぞれのラインナップのスペック表と4チャンネル・オープンリールなどのオプション群だ。その中でちょっと面白いオプションが4チャンネルのステレオヘッドフォンだ。R、L側それぞれに前後のスピーカーが内蔵されていて普通のヘッドフォンより横長でユニークな製品だ。ニッパー君のビクターロゴも懐かしく時代を感じさせてくれるカタログだ。

出典: 日本ビクター株式会社「CD-4ステレオ DFシリーズ」カタログ (1973)